リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第4番 S.136 R.1 ニ短調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Allegro grazioso d-moll

作品概要

楽曲ID:31998
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1080文字)

更新日:2018年3月12日
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第4番

このエチュードはまず、演奏のヒントを述べるよりも、失敗例を挙げたほうが早いので、失敗事例を列挙してみます。 1 テンポが遅い 2 ペダルを入れない 3 ペダルが濁る の3項目が典型です。まずテンポですが、楽譜には付点4分音符が132と書いてあります。個人的には少なくとも140位は欲しいところです。そしてペダルは必要不可欠です。ペダルはバスが変わるたびに変えるようにしますので、基本的には2小節に1回ペダルを変え、次のペダルまで踏んだままにします。Bセクションでは、1小節に2回、和音が変わるたびに変えなければならない箇所もあります。そして、ペダルの濁りは致命的になってしまいます。濁りには十分気をつけてください。

その上で、この曲を平坦にならないように演奏するコツをお伝えします。まずは曲を大きく見て、導かれるべき箇所を決め、そこに向かって少しづつ緊張感を高めていきます。25小節目はBセクションになりますが、恐らく冒頭からこの25小節目に向かっていけば間違いありません。25小節目がゴールだとして、そこに向かうまでの過程をお話しします。

13小節目から和音を追っていくと、ACE(13-14)ACisE(15-16)ADF(17-18)HDFGis(19-20)DFGisH(21-22)FGisHD(23-24)

と緊張感が徐々に高まることがわかりますね。もちろんこれは13小節目からクレッシェンドを少しずつかけていけば良いのですが、問題はその前の1-12小節間の処理です。

2通り、考え方があります。1つは、1-12を徐々にクレシェンドしていき、13小節目で一度音量を落とすという方法です。もう1つは7-8小節間で一度音量を落とすという考え方です。7-8小節間は、DFAの和音で、この調の主和音になります。3-6小節間がACisEで属和音ですので、7-8で解決されると考える考え方です。どちらでも構いません。

そしていずれの方法にせよ、25小節目のゴールに達した時、テンションを保つようにします。マーキングはpが27小節目に書いてあり、そこで既にテンションを落としてしまう奏者がいますが、25-31小節間は少なくとも最も強い部分ですので、すぐにテンションを落とさないことが大切です。特に、30小節目のHは大事な音で、強調して良いと思います。25-31小節間がそのままオクターブ低くしたものが、32-28小節間になりますので、ここは25-31よりも音量を落とし、39-40小節間でさらに落とし、41小節目にpで辿り着くようにします。

以降、同様の処理をします。

執筆者: 大井 和郎

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