リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第2番 S.136 R.1 イ短調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Allegro non molto a-moll

作品概要

楽曲ID:31996
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1391文字)

更新日:2018年3月12日
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第2番

この曲は一応、Allegro non moltoとは書いてあるものの、第2版や第3版を耳にしている我々にとっては、既に曲のイメージが出来上がってしまっているので、テンポはある程度技巧的な演奏を伴ったテンポに設定しないと曲が映えないかも知れません。メトロノームマーキングは4分音符が100となっていますが、これでも十分速いテンポです。初版とはいえ、この曲を演奏するにはかなりの技術を要します。音楽的なアイデアは、第3版(現在巷で最も演奏されている版)のレコーディングをお聴きになり、イメージを得てください。メロディーラインは、どう考えても第3版のようなスピードにはなり得ませんが、この初版も速く、エネルギッシュな演奏が求められる事は明白です。

テンポが速くなった時、ここに書かれてあるアルペジオやスケールは、ハノンやチェルニーによって得た基本テクニックを発揮させなければなりませんが、この曲はその他に、連打と、ブロークンオクターブを3連符にしたパッセージが入ってきます。これが意外に厄介ですのでこの2つにスポットを当てたいと思います。冒頭のアーフタクトをご覧ください。既にここから難しい箇所になります。

1小節目のように、ブロークンオクターブの3連が、全て白鍵であれば、514514という指使いでそれほど難しくはないのですが、黒鍵が入ってくると厄介になります。アーフタクトは、FisとGisが入ってきますね。指使いのオプションも色々書いてあるとは思いますが、筆者は1、4、5の指の他に3も使います。もしも奏者が、オクターブを1と3で届くことのできるサイズの手であれば、3の指も使うこともオプションに入れて試行錯誤してみてください。ちなみに筆者は、17小節目、左手のブロークンオクターブの指使いを、E 515 Fis 414 Gis 314 にしています。

連打の練習方法は多くありますが、例えば、1、2、3の指のみで連打をする場合、音を3つではなく4つに増やします。そして、3213、2132、1321、の3種類のパターンを使い、4つ目の音に向かってできる限り速い連打をして、4つ目の音をフォルテで止めます。止めた音は数秒鍵盤の上に乗せておきます。4つ目で止めた時、指先がぐらついたりしない事を確認します。3種類のパターンの中でやりにくいパターンがあったら、それを集中的に練習するようにします。

連打が乱れる場合、それは1つの指からもう1つの指へ進む時、前の指が弱いか、後ろの指が弱いかどちらかになります。つまり、3-2と連打した時、3が弱くても2が弱くても乱れる原因になります。弱い指が鍵盤の上から離れるのが遅く、次の指が来た時に鍵盤がまだ上がらないので、連打にならないということもよくあることです。連打を色々試しみて、どの指に原因があるのかを探ってください。ハノンにも連打の練習がありますので、それも弾いてみるのも1つの方法です。

あと、注意点を箇条書きにします。

 ◉ 4小節目のフォルテはSubitoです。急に大きくなって良いと思います。

 ◉ 23-24小節間、メロディーラインは H B A Gis A B ですが、向かっていく音を決めておくと良いでしょう。筆者はHに向かっていくと考えました。

 ◉ 28小節目と29小節目の3拍目裏拍の左手の音符はフォルテで一気に弾いてください。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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