リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第1番 S.136 R.1 ハ長調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Allegro con fuoco C-Dur

作品概要

楽曲ID:31995
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1351文字)

更新日:2018年3月12日
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第1番

この練習曲の音楽的アイデアは、第3版の1番(プレリュード)を参考にしてほぼ間違いはありません。派手ながらも、軽やかに、流暢に進みます。まだチェルニーの影響を受けていた頃の作品ですので、チェルニーの練習曲そのものが役に立つかもしれませんが、筆者が想像をする、奏者が陥るであろう難所をピックアップしていきたいと思います。

5小節目、右手のパッセージでは、どうしても4-5を使わければならない状況にあります。マーキングはp、leggieroとなっていますのでそのように弾くのですが、粒ぞろいの問題が起こりうる箇所です。筆者の所有する楽譜には、右手1拍目最初のE(ヘ音記号)を抜かした3つの音、G Fis G 2拍目、Dis E H C の指番号はそれぞれ、145(1拍目) 2314(2拍目)となっています。ところがこれが、筆者にとっては大変やりにくい指番号で、筆者はこれらの指番号を次のように変えています。

1拍目:145 2拍目:3423 です。何が問題とかいうと、2拍目の2314という指使いで、100歩譲ってこれは良しとしても、3拍目に待っているFisになんとも繋ぎにくい指番号で、3423の方がはるかに簡単だと感じます。試してみてください。

次の難所は9-10小節間のブロークンオクターブです。実はこれ、筋肉不足であればかなり弾きづらい箇所になります。幸いにもブロークンオクターブ自体は白鍵のみですので、黒鍵が混ざるよりは楽なのですが、それでも速いテンポでは大変ですね。そこでお勧めするのは、ハノンの56番とクレメンティーグラドスアドパルナッスムの28番です。これらの練習は本当にきつく、腕がかなり疲れます。しかしそれが筋肉の付き始めている過程でもありますので、お薬だと思って、頑張ってみてください。この3小節間、それぞれ4拍目の重音の下の音は左手で取ると良いです。

11-13小節間、右手のパッセージは保続音が一番上にあり、下にメロディーがあります。例えば、11小節目、トップのEに5の指を置いておきます。その状態で、メロディー音のみフォルテで弾いてみてください。慣れてきたらかなり速く弾いてみます。もちろんこの場合もEは押さえているだけで実際には弾きません。メロディー音のみ速く正確に、ムラがなく弾けるようになったら、今度は普通に楽譜通り弾いてみるのですが、腕を回転させるような、あたかもドアノブを回すのような素早い動きで、手首も利用してみてください。

次の難所は、17小節目です。16小節目、右手のパッセージは白鍵のみですし、オクターブ内ですので、なんとかなるのですが、17小節目の2-4拍間は黒鍵が入ってきます。そうすると難しくなります。特に3拍目が難しいと思います。練習方法ですが、1の指を抜いた状態で弾いてみてください。1つの拍に音が2つだけになるはずです。2-4拍目は故に、G B Fis A F As と、5-2という指を繰り返すはずです。この練習するときに大事なことは、弾かない1の指も、実際に弾くべき音も上にかざしておくという事です。例えば、3拍目、Fis A と5-2で練習しますが、1の指は低い方のFisにかざしておいてください。何故ならその角度が実際に弾かれる角度だからです。

執筆者: 大井 和郎

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