ブラームス :ピアノ三重奏曲 第1番 第3楽章 Op.8
Brahms, Johannes:Klaviertrio Nr.1 Mov.3 Adagio
解説 : 丸山 瑶子 (368文字)
第3楽章 Adagio H-dur 4/4拍子
ABA’の3部形式。A部の主題はピアノと弦パートの応答。B部は快活な主題、付点リズムの動機による応答、主題変奏から成る。主題のリズムと跳躍音形はA部の主題後楽節を思わせる。A’部ではピアノが後楽節を装飾し、切れ目なく続くピアノの音色と声部進行がA'部全体の統一感を高めている。
H(A部)→Gis(B部)という第1楽章と共通の短3度関係の調構造は、既にA部の主題(H→gis、第7-13小節)に先取される。B部への移行や再現部冒頭に見られるように、H-durの下属調でありgis-mollの平行調であるE-durが転調の鍵となるのだが、ブラームスはE-durを単なる転調の媒介ではなく、楽章の主要調として重視したようだ。B部の付点リズム動機の応答でE-durへ転調することがこの証拠となろう。
ピアノ三重奏曲 第1番 ロ長調 第3楽章
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