(第4楽章)ハ長調 8分の6拍子 ロンド・ソナタ形式
ロンド・ソナタ形式のフィナーレは、急速に上昇する6の和音による主要主題によって開始され、続いて3度順次下降する和声の上に装飾的なパッセージが置かれる。
属調(ト長調)で特徴的なリズムによる分散和音の副次主題提示、主調での主要主題回帰の後に下属調(ヘ長調)で新たな主題が提示される。
この新主題は和音の転回と順次下降する和音によっており、主要主題の反行形と考えられる。これがバス声部などに置かれて展開された後、主要主題、副次主題の再現部を経てコーダに到達する。
コーダは拡大され、長いトリルをともなって主要主題がもう1度展開され、この動機を幾度も反復して楽曲をしめくくる。
第3番のソナタは、動機の関連づけへの傾倒とコーダの拡大など独創的な側面を追及しながらも、ボン時代の作品の主題の転用などもあり、「間に合わせ」のような印象も受けるが、こうした若書きの中にみられる独創的な部分は、どれも後年のベートーヴェンに固有な特徴につながっていることは興味深い。