主に3声で書かれているクーラントです。注意点としては32小節目1拍目裏拍から始まるトリル+32分音符が無理なく弾けるテンポを選ぶことですので、ここで無理のないテンポを選んだらそのテンポを基準として全体のテンポを決めます。
もう1つはやはり声部の独立は欲しいところですので、アルトを弱くして、他の声部との差を付けます。
このクーラントは、オリジナルの調であるd-moll以外に、F-fur、g-mollに転調します。テンションの付け方としては、d-mollを最もテンションが高めの調として設定し、その他の調はd-mollよりも控えめにすることでメリハリが付きます。
前半は冒頭と最後がd-mollですが、中間はF-durが続きます。前半の最後が前半のピークポイントと考えても良いので、18~20小節間のテンションを上げるようにします。
後半、柔らかなF-dur、そこから少しテンションが高いg-mollと徐々にテンションを上げ、最後にd-mollに戻ったところでテンションを更に上げるようにします。
筆者の楽譜には、35小節目以降、トリルに対して32分音符は書かれておりませんが、ヘンデルは、32小節と同じようにと略したのかも知れません。
32小節目から始まる全てのトリルは1拍目裏拍に来ますので、35小節目以降も同じトリルで良いと思います。