ルビンシテイン, アントン : 音楽の夜会、9つの小品 ノクターン Op.109-3 ヘ長調
Rubinstein, Anton : Soirées Musicales, 9 morceaux Nocturne F-Dur Op.109-3
作品概要
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:8分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(645 文字)
更新日:2025年11月25日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (645 文字)
このノクターンは、ロマン派の作品と見なして良いと思いますので、ロマン派の特性である、多用のルバートやペダルを使って、自由に弾いて良いのですが、聴いている人達、拍の頭はどこであるか、認識できる演奏が望ましいと筆者は考えております。
例えば、5小節目、主旋律のフレーズのピークポイントに達するとも考えられる部分であり、テンポをむしろブローディング〔大きく引き延ばすこと)しなければならないのですが、1拍目、左手の3連符が走ってしまうことにより、2拍目の表拍の音である、F が、1拍目にあるように聞こえてしまう誤解が起きます。
そしてここは難しいのですが、9小節目の1拍目、表拍の音はCisにも関わらず、前の小節の最後の音であるCが、9小節目の最初の音である様な演奏の仕方により、その先も次々と誤解を生みます。11小節目の1拍目表拍のCis、13小節目1拍目表拍のE、等、奏者は可能な限り工夫をして、各音がどの位置に存在するのか、聴き手に判らせなければなりません。19〜21小節間も同じです。これら、誤解を生みやすい箇所と、そうでない箇所の区別を付け、その上で、ルバートによって自由に弾く事は良いのですが、まずは、拍の頭等を把握した上でテンポを崩すようにします。そして、聴き手の事も考え、判りやすい演奏を目指してみて下さい。
