第9番 変ホ長調「ペシュトの謝肉祭」
ペシュトとは現在のハンガリーの首都「ベダペシュト」の「ペシュト」のことである。ドナウ川を挟んで西側の丘の上に位置する「ブダ」に対し、東側の「ペシュト」は平野で経済的に発展した町であった。「謝肉祭」はキリスト教(主にカトリックの地域)のお祭りで、四旬節(復活祭の46日前)の前に行われる。そのメイン・イベントは大規模な仮装行列で、この作品はそうした雰囲気を模写していると考えられる。
Moderatoで開始される比較的緩やかな前半は、遅いLassanの音楽とは異なっており、楽曲の重点はFinaleと添えられたPresto以降の部分に置かれている。ファンファーレ風の開始は仮装行列の開始を告げるラッパのようでもある。
緩・急の2部構成ではあるが、他のジプシー風スタイルの2部構成とは若干異なる面を見せている。
H.W.エルンストに献呈。
ヴァイオリニスト、ハインリヒ・ヴィルヘルム・エルンストに献呈。