最後のコーダを除いては、右手の5連符は途切れることがありません。故に柔らかに、緩やかに、「止まることなく」流れるように演奏します。もともとリャードフのピアノ曲にはあまり細かい、多くのテンポチェンジマーキングが書かれていませんが、冒頭にcon motoと書かれていますので、多少のルバートはかかります。しかし流れを止めずにというさじ加減が難しいかも知れません。
1つのヒントとしては、全く同じセクションが2回出てくるとき、2回とも同じに弾かずに違いを付けるようにします。例えば、1~4小節間と5~8小節間は99%同じで、フレーズの最後の音がEsで終わるかFで終わるかの違いしかありません。このほぼ同一の2つのフレーズを演奏するとき、2つを異ならせるのですが、内声に注目するのも1つの手です。左手の伴奏形を見ると最も高い位置に書かれてる音を追うことができます。
即ち、1小節目の最初の音Desがあり、それが3小節目1拍目でC、2拍目でH、4小節目でC であれば、Des-C-H-Cという1つの声部が出来上がります。例えば1~4小節間は普通に演奏し、5~8小節間は内声を聴かせるというのも1つ出来ますね。
9~10小節間と、11~12小節間はシークエンスです。13小節目からは1拍毎のシークエンスで下行していますね。その時例えば、半音階進行で下行してくるバスの音を強調してあげることで変化を付けることができますね。
21ー22小節間、曲が始まって以来初めて左手がなくなりますね。特別のムードに包まれる部分です。ゆっくりと左手を上げ、宙に浮かせましょう。
この曲のピークポイントは44~45小節間です。しかし決して右手をマルカートにすることなく滑らかに演奏してください。