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リャードフ :3つの小品 前奏曲 Op.57-1 変ニ長調

Lyadov, Anatoly Konstantinovich:3 pieces Prelude Des-Dur Op.57-1

作品概要

楽曲ID:23578
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1487文字)

更新日:2022年11月29日
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有名なプレリュードですが、実に様々な演奏をされる曲です。ここでは筆者が考える、この曲の然るべき演奏法を解説します。

曲全般の注意:このメロディーラインは、カンタービレである事は間違いなく、そのように演奏されるべきです。そうなるとメロディーラインと伴奏の左手3連符とのバランスに細心の注意を払わなければなりません。この曲の失敗例としては、左手が大きすぎるために右手8分音符とのタイミングのズレ(2対3)がさらに曲を硬いもの、機械的なもの、として聴かせてしまう結果になります。故に、左手は可能な限りppで、しかしバス音は痩せた音にならないようにします。

3小節目、4小節目、5小節目と同じ音形が続きます。この3小節、1小節毎にムードが異なりますね。各小節のムードの違いを表現してください。そして、同じ事が、9小節目、10小節目、11小節目に起こります。3~5小節間とは異なり、9~11小節間の場合、最後の11小節目の和声が異なります。心理描写的に期待を持てる気持ちになれる5小節目とは異なり、11小節目は悲しみの表現と理解します。11小節目は故に、音色を変えてください。

13小節目からは2小節単位でのシークエンスが18小節目まで続きます。14小節目と16小節目で初めて左手の伴奏が休符になることにお気づきでしょうか?これはテンションが上がっていく表現です。最終的にピークを迎えるのは21小節目ですので、そこにたどり着く準備段階の小節(13~18小節間)と言えます。

この2小節単位のシークエンスの注意点としては、例えば13小節目の1~2拍間の右手は、7度も跳躍していますね。このようなとき、ピアノ関係の我々は簡単に2拍目のGesにたどり着けますが、歌の人は大きな跳躍の時時間を取ります。その歌唱法を真似、即座に2拍目の7度跳躍に飛び込まないことです。15小節目、17小節目も同じです。

そしてこの3つのシークエンスは徐々に音量を上げていくのですが、18小節目4拍目よりメロディーがオクターブになりますね。この時に、オクターブに変わったことを感じさせないで、自然にオクターブに変わるように音量をコントロールしてください。別の言葉で言うと、いきなり、オクターブに変わったからと言って音量が上がるのではなく、それまでに音量を十分上げておき、オクターブに変わった時点ではむしろ音量を控えるように弾くことで自然な流れになります。

21小節目、ピークポイントを迎えても、ritが書いてあるからと言って4拍目のアルペジオで書かれている和音に余計な時間をかけすぎる演奏もありました。ritは段々に遅くという意味で、タイミングを狂わせたり、止まったりということではありませんので、拍をカウントし続けます。勿論4拍目は時間をある程度取らないと逆に不自然な結果にもなるのですが、取り過ぎてもいけません。

この21小節目から33小節目までは、基本的にディミヌエンドでppに達してください。即ち、22小節目にpマーキングがあるからといって、その通りにpにしてしまうと、そこから先、ディミヌエンドがかけられず、平坦な演奏になってしまいます。人間の感情とはそうそうぱっと冷めるものではありません。21小節目の影響を残す意味でも22小節目はあまりpにならないようにします。

さて、32小節目、左手1拍目の全音符、Desは1小節分伸びてさらに次の小節にタイで繋がれています。これはどうしても切りたくないですね。そこで、ヘ音記号に書かれている3連符の内声は右手で弾いてしまいましょう。そして全音符は左手で押さえておいてください。

執筆者: 大井 和郎

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