ホーム > リャードフ > 4つの前奏曲 > 前奏曲 ホ短調

リャードフ :4つの前奏曲 前奏曲 Op.46-4 ホ短調

Lyadov, Anatoly Konstantinovich:4 Preludes Lamentoso e-moll Op.46-4

作品概要

楽曲ID:23577
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1046文字)

更新日:2022年11月23日
[開く]

このプレリュードを演奏する際に2つの大事なことを覚えておいてください。

1  左手がなくなり、右手だけで演奏するソロの部分が多くあります。即興的に、ルバートも使って歌い上げたいのですが、この曲の、3/4拍子を崩さないように気をつけます。テヌートをかける音符があまりにも長すぎたり、付点2分音符がそれ以上になってしまったりというような、拍を崩すことがないように気をつけます。まずそれが1つ目。

2  11小節目と42小節目から始まるpiu mossoを考えてみます。piu mossoとは、piu=もっと

mosso=動いて という意味で、もっと動いて欲しい、今までよりも動きを付けてという意味であり、ここから突然、テンポが速くなるということではありません。

ちなみに、piu mosso以外の部分をご覧になってください。右手のソロの部分であったり、とてもゆったりとして即興的な部分ですね?つまりは、piu mossoが始まってから初めて1拍目が左手で埋められていることにお気づきでしょうか?piu mosso以外の部分では、左手が1拍目を演奏するのはほんの数小節しかありません。別の言葉で言うと、piu mossoが始まったら、テンポを安定させてという意味にも取れます。

そして、そもそもこのpim mossoの部分はどのような描写なのでしょうか?この曲の表記は、Lamentoso(悲しく)という表記です。そしてpiu mossoの部分は、長調ではあるものの、喪失感を感じさせる表現と考えても良いですし、昔の思い出が蘇ってくる描写と考えても構いません。どっちにせよ、この部分が急に、速度が速くなって、全く別のムードを作ってしまうテンポにはしないようにします。

18~19小節間をご覧ください、音もリズムも全く同じですね。これは、思い出が徐々に頭から消え去り、現実の世界に入る前の段階と考えます。故にディミニュエンドをかけます。

このプレリュード、メロディーラインは主に右手にありますが、左手の副旋律も大切に扱います。

例えば5~6小節間の左手の素材は曲中4回繰り返されます。5~6小節間、7~8小節間、30~31小節間、32~33小節間です。5~6小節間を例に取ると、6小節目の1拍目、左手の一番上がDisの和音に向かってクレシェンドをかけ、Disに達したらディミヌエンドでEを消えるように弾きます。これはダブルサスペンションという非和声音で、悲しみを強く表現します。このような左手の部分も大切に弾きます。

執筆者: 大井 和郎
現在視聴できる動画はありません。  

楽譜

楽譜一覧 (0)

現在楽譜は登録されておりません。