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リャードフ :4つの前奏曲 前奏曲 Op.46-1 変ロ長調

Lyadov, Anatoly Konstantinovich:4 Preludes Con moto B-Dur Op.46-1

作品概要

楽曲ID:23574
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:1分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1420文字)

更新日:2022年11月23日
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このプレリュードは、9小節目からスタートする左手の副旋律等を除いては、基本的には右手にメロディーライン、左手に伴奏形がきます。副旋律が出てきて2声になった場合、双方のラインは理に適ってシェープ(形取る)されなければならなく、例えば、フレーズの終わりの音であろう、10小節目左手の全音符Fに対してアクセントを付けるようなことは避けなければなりません。

このプレリュードを演奏するにあたり、右手のメロディーラインは和音進行を考えると良いです。

例えば、1~2小節間、1小節目の和音はF A C Es でドミナント、2小節目の和音はB D F でトニックですね。VからI に和音が解決すると考えますので、1小節目よりも2小節目の方が弱くなります。3~4小節間も同じです。5~6小節間シークエンス下行形ですのでディミヌエンドをかけ、7小節目でクレシェンド8小節目でピークを迎え、その小節内で再びディミヌエンドをかけ、次のセクションに行きます。

9~10小節間、左手の副旋律は下行していますし、和音進行そのものもテンションの高い和音から。「解決」とまでは行かなくても、テンションの緩む和音に進行していますので、ディミニュエンドをかけます。11~12小節間は9~10小節間の下行形シークエンスですので、更に音量を下げていきます。

13~16小節間はクレシェンドとディミヌエンドがありますので、15小節目をピークポイントとした、ヘアピンカーブのクレシェンドとディミヌエンドで良いでしょう。以下同様です。

右手のメロディーラインの中でも特に重要な音と、単に和音を構成している音が出てくるセクションがあります。 例えば、10小節目、右手は、A B G G E G D Dと書いてありますが、重要な音は表拍の、A G E D であり、裏拍の、B G G D は大きく出す必要は無いですね?

これを考え始めると人によって考えも異なってきます。しかしそれはそれで構わないです。例えば33小節目、1拍目の表拍のB 2拍目の裏拍C 3拍目の表拍B 4拍目の裏拍C を B C B C と聴く人もいるでしょうし、この小節の右手のDを抜かして、B Es C B Es C と聴く人もいるとおもいます。そこは自由です。

さてこのプレリュード、皆さんと共に考えなければならない課題があります。それは流れの問題です。冒頭に、Con moto と書いてありますね。動きを付けてという事ですので、メトロノームのような演奏ではなく、ある程度自由にテンポを変えていくわけですが、右手の音を見ますと、曲の始めから曲の最後まで8分音符が1音たりとも途切れることがないことにお気づきでしょうか?

これは作曲家が流れを止めて欲しくないという意味での書法かもしれません。そしてCon motoを重視し、ルバートをかける場合、例えば筆者であれば、8小節目で少しテーパーリングをかけて遅くしたい所ですし、9~10小節間と11~12小節間のシークエンスのカラーを変えるために、若干ですが、10小節目と11小節目に時間を取りたい等の要望があります。それはそれで良いのですが、そうなると今度は右手の8分音符の流れを止める結果になってしまうことになります。

結果、ルバート等の動きはどこまで許されて良いものかという課題です。考えてみましょう。なお、筆者の動画は今観ると少し流れを止めすぎているように感じますがいかがでしょうか?

執筆者: 大井 和郎

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