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ラヴェル :鏡 第2曲「悲しい鳥たち」 変ホ短調

Ravel, Maurice:Miroirs "Oiseaux tristes" es-moll

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:4分00秒

解説 (1)

解説 : 舘 亜里沙 (563文字)

更新日:2019年2月13日
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 【第2曲 〈悲しい鳥たち Oiseaux tristes〉】  初演を務めたヴィニェス本人に献呈された、5曲の中で最も短くも、調の推移が明確に示唆された楽曲である。変ホ短調。  楽曲を開始するB♭音の同音連打は、次の小節で明確に変ホ短調を提示する哀愁漂うモティーフに変わる。また次の小節では主音のE♭音が連打され、続いて導音であるD♮音も現れるが、このD♮音は主音に帰ることなく属音のB♭と結びついてモティーフを形成し、不穏な雰囲気を生み出す。同時に内声には冒頭で提示された4分の4拍子に抗い、3拍子単位で揺れ動く半音の音型が現れ(なお楽譜の上段が4分の4拍子なのに対し下段は8分の12拍子で開始される)、これがさらに音楽の流れを淀ませる。最上声ではB♭とE♭の同音連打が引き続き交替しているが、10小節目でE♭は異名同音のD#へと変容し、楽曲はホ長調に転調する。13小節目でそれまで八分音符単位で動いていた内声が十六分音符で倍速となり、突如音楽は爆発的に動き出す。再び20小節目で元の淀んだ流れに収束した音楽は、ホ長調に含まれているC#音を介してニ短調に転調している。25小節で再び加速するものの再び音量が大きく膨らむような展開はなく、むしろ冒頭のモティーフを高音域かつ弱音で繰り返しながら、音楽はコーダへと向かってゆく。

執筆者: 舘 亜里沙