ホーム > ピアノ曲事典 > ラヴェル > > 第1曲「蛾」 変ニ長調

ラヴェル :鏡 第1曲「蛾」 変ニ長調

Ravel, Maurice:Miroirs "Noctuelles" Des-Dur

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:性格小品
総演奏時間:4分30秒

解説 (1)

解説 : 舘 亜里沙 (599文字)

更新日:2019年2月13日
[開く]

【第1曲 〈蛾 Noctuelle〉】

詩人のレオン=ポール・ファルグ Léon-Paul Fargue(1867~1947)に献呈。楽曲そのものもファルグの詩に触発されて書かれたものだと言われている。変二長調、A―B’―A’形式であるが、変拍子(また拍子のバリエーションにしばしば5拍子を含む)と互いに周期を異にする音型の組み合わせによって、即興的に聞こえるように書かれている。  A部分は突如音楽の動きを留める休符を境に、9小節―11小節―16小節に分けることが出来る。冒頭の9小節では、半音階的な横の流れを持ちながらも三度や四度の重音によってぎくしゃくとした4拍子単位のモティーフと、3拍子単位で滑らかに弧を描く八分音符/十六分音符が組み合わされ、夜に羽を震わせる蛾の様相が描写されている。次の11小節間も同じような動きで始まるが、ようやく旋律線と思しきものが現れ、その次の16小節間では左手に比較的音価の長い音符が現れ、B部分へとつながってゆく。B部分は変二長調から並行調の変ロ短調へと転調し、属音であるF音と主音であるB♭音がシンコペーションで執拗に連打される。右手に主旋律と思しき非和声音を多分に含んだ長いフレーズが現れるが、やがてそれは断片化され、A部分で使われていたモティーフへと還元され、A’部分を導く。A’部分はA部分よりも短く区切りもなく、11小節間のコーダを伴って終結する。

執筆者: 舘 亜里沙