メンデルスゾーン : 無言歌集 第2巻 「慰め」 Op.30-3 U 104 ホ長調
Mendelssohn, Felix : Lieder ohne Worte Heft 2 "Consolation" E-Dur Op.30-3 U 104
作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:無言歌(ロマンス)
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:応用7 発展1 発展2 発展3 発展4
楽譜情報:14件解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(1672 文字)
更新日:2021年8月17日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1672 文字)
この曲は歌曲そのもので、メロディーラインが歌の部分です。当たり前のことかも知れませんがそれに対して多くの考え方ができますので後術します。その前に、このような歌の部分と伴奏でできている曲を演奏するときの基本的注意点を述べます。このような曲を演奏するときには、自分が客席の最前列に座り、自分の前に歌手が立ち、ものすごい声量で歌を歌い、その後ろでピアノが伴奏をしていると仮定します。
そうすると、歌の部分ははっきりと聞こえ、伴奏がそれを邪魔することはないですね。その状況を再現するようにします。つまりは、歌の部分ははっきりと太い音で演奏し、伴奏の部分は遠くから聞こえてくるように小さく演奏します。歌の部分と伴奏の部分の根本的な音質を変えます。歌の部分はとにかく誰が何時聴こうがはっきりと聞こえるように演奏します。
歌の部分が伴奏部よりも離れているレジスターで歌う場合、これは比較的楽な作業になりますが、歌と伴奏が近かったり、歌の方が下であったり、あるいは伴奏の中であったり、あるいは、伴奏部の音の数がものすごく多く、歌の部分をかき消したり、と様々な支障が出てきます。そのときにはそれでも歌の部分を強調できるように工夫が必要になります。
冒頭3小節間、3小節目3拍目まで伴奏のみとなりますので、これはソフトペダルを使っても良いくらい、ドルチェでぼやけた音質で、ppで演奏します。3小節目3拍目から歌が登場しますので、ここからメロディーラインははっきりと歌うようにします。そして一区切りつく場所が、11小節目の1拍目です。ここまでをAセクションとします。
Aセクションの強弱を見てみると、メゾフォルテ、ピアノ、が交互に来ます。奏者が陥りやすい事例としては、pのマーキングが出てきた途端に歌の部分が本来の音質を失い、華奢な音質で歌ってしまうことにあります。この曲中に出てくるpのマーキングに関しては、歌の人の為というより、伴奏の人のためというように考えます。勿論多かれ少なかれ、歌の部分もダイナミックの変化がなければなりません。しかしながら伴奏と一緒に縮こまってしまっては、折角の歌の部分が脆弱になり、あたかもピアノ伴奏の部分のように聞こえてしまいます。
どんなにpであろうとも、歌の部分ははっきりと、伴奏部分との音質を分けてください。
そして全体のアイデアの話になります。この曲は長調ですが、悲しみの表現でもあります。特にAセクションの歌の部分はその表現です。3小節目3拍目から、5小節目2拍目まで一つのステートメントと考え、悲しみの表現と考えて歌います。5小節目3拍目から7小節目1拍目までが、「慰めの部分」と考えます。それは2重唱かも知れませんしソロかも知れませんが、この二つのステートメントが交互に現れますね。
このAセクションのメロディーラインを歌い上げるとき、そつなく進んではいけません。切実さが出ていなければなりません。それには、ある程度通常のタイミングやレゾルーション(和声的解決)を崩していかなければなりません。例えば8小節の1拍目Eは、7小節目のオクターブ下のEから上がっていったものですが、通常、歌手はこのようなオクターブなどの広いリーチを歌うときにはそれなりに時間がかかります。我々ピアノであれば一瞬にしてオクターブ上の音まで届きますが、歌の人はそうはいきません。そのような歌手の特性を活かします。7小節目最後のEから8小節目のEにたどり着くときは、充分に時間を取り、8小節目のEに十分な音量を与えるようにしてください。
13小節目のピークポイントは遠慮なくクレッシェンドからフォルテに到達するようにしますので、大きな音で弾いてください。
15小節目pと書いてありますが、ピークのすぐ後の小節ですし、左手バスは付点2分音符が伸びていますので、まだ比較的音量は大きく、そして15小節目、付点2分音符ではなく今度は休符が左手に来ますので、ここで音量を落とします。
24小節目、とてもカデンツ的な部分です。充分に時間を取り、メロディーラインを歌ってください。
解説 : 今関 汐里
(166 文字)
更新日:2021年3月1日
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解説 : 今関 汐里 (166 文字)
4分の4拍子、ホ長調。序奏+主部+後奏(序奏と同じ)の3部からなる。低音域から高音域にかけてのアルペッジョがしとやかに奏でられて、主部へと入る。軽やかな序奏と対照的に、主部は厚みのある響きを持つ和音と声部書法が核となる。その効果は、とりわけ左手の伴奏が右手の旋律にあわせて動く場面や、右手と左手の音域が広がっていく場面で顕著になる。
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