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ショパン :ワルツ第9番 「告別」 変イ長調 Op.69-1

Chopin, Frederic:Valse No.9 ''L'adieu'' As-Dur Op.69-1

作品概要

楽曲ID:23221
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ワルツ
総演奏時間:4分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用5 応用6 応用7 発展1 発展2 発展3 発展4 発展5

楽譜情報:33件
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解説 (1)

解説 : 安川 智子 (1479文字)

更新日:2019年1月31日
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《円舞曲 Valse》 変イ長調 作品69-1 没後出版

【作品の基本情報】

作曲年:1835 出版年:1855(Paris, Berlin)

献呈 :マリア・ヴォジニスカ Maria Wodzi?ska(献辞:1835)、シャルロット・ド・ロットシルド Charlotte de Rothschild(献辞:1842)

【楽譜所収情報】

パデレフスキ版:No. 9(フォンタナ版), No. 9bis(1835年手稿譜に基づく)/

エキエル版:WN47, [SeriesB]-7a(A Mme Peruzzi, 後の自筆譜に基づく), [B]-7b(Pour Mlle Marie, 初

期の自筆譜[コピー]に基づく), [B]-App.(補遺)7a(もっとも初期の版), [B]-App. 7b(フォンタナ版

/コルトー版:No. 9/ヘンレ版:No. 9a(Pour Mlle Marie), No. 9b(フォンタナ版)/

ペータース版(原典版):(No. 15a : 1835年手稿譜に基づく, No. 15b : 1842年自筆譜に基づく。ヴァリ

アント付き)

自筆譜、複数の献辞、複数の版が残されており、楽譜状況は極めて複雑である。近年刊行されているエキエル版、ペータース版は、この作品から作品番号(69-1)を取り除いており、また作品69-2とされていたロ短調のワルツとも別作品として扱っている。

ショパンがパリに腰を落ち着けてから作曲したワルツは全部で12曲あり、そのうち8曲がショパンの生前に出版された。この変イ長調のワルツを含む残りの4曲は、ショパンが個人的な贈り物として作曲したものであり、むしろ出版を望んでいなかったとも考えられる。変イ長調のワルツにはそれぞれ1835年、1837年、1842年の日付が記された3種類の自筆譜が残されている(1835年の自筆譜はコピー)。もっとも著名なのは「1835年9月ドレスデン、マドモワゼル・マリー[マリア]へ」と記された楽譜であり、各版が収録している。献呈されているマリア・ヴォドジンスカはショパンにとって唯一結婚を約束した女性であり、彼の理想の女性であり続けた。

ワルツが作曲されたのは1835年9月、ショパンがドレスデンのヴォドジンスキ家に滞在中とされている。ボヘミアのホーエンシュタイン家を訪ねた後(作品34-1参照)、パリへの帰途ドレスデンで、ショパンはワルシャワ時代からの付き合いであるヴォドジンスキ一家と再会した。恐らくピアノを演奏しながら即興的に作曲し、楽譜に書き留めたのであろう、「あの《ワルツ》(あなたが最後にお弾きになって、私たちにくださった曲です)を私が弾いて楽しんでいると、みな聴いて楽しんでいます」という、マリアからショパンに宛てた手紙が残されている。この時わずか16歳であったマリアは、1837年3月には「決別Adieu」の手紙をショパンに送り、恋は終わることとなった。このため、通称「別れのワルツ Valse de l'adieu」と呼ばれる。

思い出の曲でもある変イ長調のワルツは、その後修正されていずれもピアノの弟子であった別の女性に贈られている(1837年にはPeruzzi夫人へ、1842年にRothschild嬢へ)。基本的にはトリオを挟む三部形式(A-a-A-B-b-B-A)であり、各バージョンの差異は即興性によるところが大きい。一拍目をぼやかすかのような、半音階下行のアウフタクトによる弾き出しは、はっとするような美しさと色気を醸し出している。 (2010年1月 安川智子)

執筆者: 安川 智子

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