ショパン : エチュード集(練習曲集) 第12番 「大洋」 Op.25-12 ハ短調
Chopin, Frederic : 12 études Etude No.12 c-moll Op.25-12
作品概要
解説 (2)
解説 : 今関 汐里
(379 文字)
更新日:2019年8月7日
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解説 : 今関 汐里 (379 文字)
ハ短調、2分の2拍子、Molto allegro con fuoco
両手の分散和音の練習。低音から高音へと駆け上がり、高音から低音へと一気に駆け下りてくる。そのため、上半身の効果的な体重移動と、両手の素早いポジション移動が要求される。アクセントや4分音符で示されている旋律音により、分散和音から力強い旋律線が浮かび上がってくる。
コルトーは、自身が校訂した楽譜で、指だけでアクセントやレガートが弾き分けるようにし、ペダルは、主題を形作る音を延ばすために用いるように心がけることが必要であると指摘している。これは、ペダルに依存しすぎて演奏してしまうと、かえって音が濁ってしまい、効果が得られないことを示唆していよう。
急速に上行下行を繰り返す分散和音は、楽曲を通して、フォルテやフォルティシモなど力強く演奏され、最も強いフォルティッシッシモで決然と終わりを迎える。
演奏のヒント : 大井 和郎
(1378 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1378 文字)
第12番 ハ短調 コンクールや試験によってはこのエチュードを除くように指示が出ている事もあります。察するに、ペダルを多く使うことで1つ1つの音の粒立ちが聞こえづらくなってしまい、公平な審査がしづらいという理由からであると思います。この曲を演奏するときのヒントはとにかくわかりやすく聴かせることを目指します。ただ淡々と弾くのではなく、形式を良く理解することで演奏がよりわかりやすくなります。冒頭から説明していきましょう。 1-7小節間、それぞれの小節に1つだけメロディー音が入っています。即ち、1-7小節間では、Es D F Es D Es C という7つのメロディー音が、それぞれ小節の1拍目頭にアクセントが付いて書かれてあります。奏者はこの Es D F Es D Es C をはっきりと聴かせなければなりません。そのばあい、シェーピング的には、高音の位置にあるFが最も大きく出るべきと思いがちですが、6小節目の和音の性格から考えても後ろに行くに従ってテンションは高まると考えます。故に、Es D F Es D Es C は最後のCに向かってクレシェンドをかけていくという考え方でも良いと思います。そして、このEs D F Es D Es C 以外のアルペジオの音は実はmpくらいで十分です。それほど音量を落としてでも、最初のメロディー音をハッキリ聴かせなければなりません。このエチュードの演奏失敗例はまさにそこにあり、全ての音が同じ扱いを受けてしまうとき、演奏はとてもわかりにくくなり、失敗に終わります。 さて、この一蓮のEs D F Es D Es Cが終わったら、7小節目1拍目裏拍から、全く別の素材が出てきます。素材2とします。それは、C B As G G F F になります。今までとは打って変わって、感傷的で、旋律的な歌の部分です。pやmpで演奏し、全く別の気持ちの表現であると考えます。 9小節目からは再び素材1が来ます。今度は12小節目に長調の主和音が出てきて、15小節目にはそのまま長調の主和音でフレーズを終え、先ほどよりもドラマティックな終わり方になります。メロディーラインは、Es D F E As G E そして16小節目より2-4拍間EDF(G)というメロディーが1拍ずつ、そして17小節目のEで終わり、18小節目で再び今度は、EDCというメロディーラインが来て19小節目のDに達し、DCA C と続き、22小節目でもう一度Cがメロディーに来て、長調の主和音で終わります。 ここからAs-durに転調しますが、ここからのメロディーを書いておきます。 C C B Es C C B As B B As F As As Fis G As C H H C Es D D Es G F As G 45小節目より: G G G GG 47小節目より: Es D F Es D Es C (C B As G G F F) 55小節目より: Es D E F F E F G As G C B As F D G As As G 71小節目より: E E D F E E D C D D C A C C C D C C C D E E これらがメロディーになりますので、これらの音をハッキリと出し、適切なシェーピングをしてください。
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