このフーガに関しては、解説もありませんので補足しますと、未完成作品とされています。本当に未完成なのか、完成したオリジナルが何らかの形で、破損してしまったのか定かではありませんが、最後まで演奏している音源もあり、この音源はバッハが作ったものか、あるいは演奏者が作ったものか、別の作曲家が作ったものかも不明です。
バッハのe-mollという調は2種類の顔があり、ゆっくりで進むe-mollは深刻で悲しみの表現ですが、速く進むであろうe-mollは実にテンションが高く、このフーガも例外ではありません。
冒頭17小節目から既にストレッタ(テーマが始まり、終わる前に次のテーマが始まる)が出てきます(通常終盤で盛り上がる部分に使用されることが多い)。ストレッタはそれ以降も雨嵐のように次々と出てきます。
曲中の16分音符は途切れることがなく、とにかく、最初から最後までテンションが上がりっぱなしのフーガなのです。
これは助言にすぎませんが、これを演奏する奏者はせっかくですから、未完成の作品の最後をご自分で作ってみては如何でしょうか?切れているところから数小節で良いので是非試してみて下さい。