ドビュッシー :プレリュード(前奏曲)集 第2集 交代する3度
Debussy, Claude Achille:Préludes 2 "Les tierces alternées"
解説 : 白石 悠里子 (320文字)
ドビュッシーは、1913年1月7日のデュラン宛の手紙の中で、イギリスの作家キプリングによる『ジャングル・ブック』の一編、「象使いのトゥーマイ」から着想得た曲が仕上がらず、代わりの曲を用意する旨を告げた。その曲こそが〈交代する3度〉であると考えられている。序奏を経て、第11-14小節に主要モチーフが登場し、両手の交代で成す3度和音のトレモロのパッセージが続く。一方、中間部では3度和音の交代は保たれつつも、甘く優雅な趣となる(第91-115小節)(譜例)。一貫したパッセージ・ワークから多様な音色を引き出すことが要求されるという点において、1915年に書かれる《練習曲集》に通じる特徴を持っている。
【譜例:中間部の開始、第91-94小節】
プレリュード(前奏曲)集 第2集 11. 交代する3度