チャイコフスキー :組曲「くるみ割り人形」 アラビアの踊り Op.71a ト短調
Tchaikovsky, Pytr Il'ich:The nutcracker suite "Arab dance" g-moll
解説 : 木暮 有紀子 (259文字)
コーヒーの精を象徴する踊りで、グルジア地方の子守歌に基づく。(コーヒーはアラビア地方原産であり、イスラム教徒の間で体調を整え、気分を高揚させる薬として広まっていた。)
左手に支配的な音型は、太鼓の模倣である。主題が始まるのは14小節目からで、これは本来ヴァイオリンが担当している。オーケストラ版では弦楽器群は弱音器(ミュート)をつけて演奏され、音色に変化が加えられている。チャイコフスキーは、5連音符で表されるメリスマ風のリズム、増音程の使用、低音のオスティナートなど典型的な手法で東洋的イメージを表象しようとしている。