シベリウスはヴァイオリンに大変興味を持っており、ヴァイオリンに対する想いはとても強く、従って、ピアノの為に書かれた曲であってもヴァイオリンの要素が入っている曲もあります。この曲もそのようなヴァイオリンのパッセージに似たパッセージが随所に見られます。冒頭から、これはヴァイオリンの曲だと思って、ヴァイオリンを真似て弾いてみて下さい。

ヴァイオリンが自由に、即興的に、独奏していると考えます。そして多くのカデンツ（終止形）があります。6小節目、10小節目2拍目、32小節目などが終止形になります。このような場所では少し長めに時間を取ってもかまわないかも知れません。

シベリウスの音楽の特徴の1つとして、音楽が瞬間的に止まるという特徴があります。突然休符のみの小節が現れたり、パッセージが途中で途切れ途切れになったりします。その瞬間、ある種の緊張感が欲しく、曲が途切れてもテンションを決して緩めない様にして下さい。特に最後の、8小節などはその典型的な書法です。音量的、テンポ的には衰退しても、テンションはそのまま保って下さい。