5. リゴードン
リゴードンについての説明はほぼ見当たりませんのでここで補足させて頂きます。リゴードンとは、2拍子系の舞曲ですが、円を描く、回るという意味の他、喜びや楽しみというイタリア語という説、その他、17世紀にいたリゴードという踊りの達人から命名されたとの説もあります。
冒頭の表示に、Allegro con brioと書かれていてここまでは良いのですが、筆者の楽譜にはメトロノームマーキングが 2分音符=144 とあります。これはほぼ不可能に等しいと思いますので、これを守る必要はありません。2拍子で感じられる速さと軽快さがあれば良いと思います。
そしてこの曲に関しては、音楽を絶対に「止めない」事が大切です。メトロノームに近い、正確な拍を取り、余計な場所で時間を食わないようにします。曲中、テンポに関する表示は2箇所しかありません。38-39小節間にある un poco ritard と 73-74小節間にある ritardando です。
それ以外の場所ではテンポを緩めずに淡々と先に進んで下さい。BセクションのTrioも同じです。
さて、前述したテンポと軽さ、2拍子を感じること、さえ守れば取り立てて述べることはありません。3箇所ほど提案がありますのでそれは参考にしてください。22小節目と、26小節目では、左手と右手のDが重なります。ここは左手を使ってDを弾き、右手は次のオクターブ上のDから弾き始めると良いです。
2つ目は、37-38小節間のオクターブです。ダイナミックマーキングはFFになっていますので、ついつい大きくしてしまいがちですが、リストのようなオクターブにはならないようにして、このオクターブも軽めに、そこまで音量を上げずに弾いてください。
3つ目は39小節目のトリルです。筆者も試してみましたが、この右手のトリルは454で良いのではないかと思います。343ですとちょっと指の開きが大きくなってしまいますね(下にFis とCがありますから)。そこで454を使うのですが、この3つの音である、AHAを弾く際に、最初のAを左手バスのDと合わせるか、3つ目のAを左手Dと合わせるかで難易度が異なってきます。
簡単なのは3つ目のAと左を合わせる演奏法です。1つ目のAと合わせた場合、指の独立が必要になってきます。そして、はっきりと3つの音が聞こえるように演奏してください。