4. エア
絶大な美しさを持つ曲です。歌と伴奏のアンサンブルですのでルバートを使い、たっぷりと歌い上げます。多くの細かい音符が出てきます。32分音符の3連符などです。これらの扱いは、機械的にならないように注意します。これは後述いたします。そのほか、曲中には普通の弾き方で弾くとどうしても無理なパッセージがいくつかあり、特殊な方法を用います。
冒頭から見ていきましょう。歌と伴奏のバランスを取りつつ、歌が自由に歌います。伴奏はそれをフォローする感じです。1小節目、コンスタントな伴奏がありますが、2小節目でいきなり32分の3連符が出てきますね。ここで決して急がないことが重要なヒントになります。2小節目1拍目の右手、DCBC は、メロディックに、軽く、しかし急ぐことなく、機械的にならずに、即興的に、大きすぎず、小さすぎず演奏します。そうすると、この1拍目表拍には余計に時間が必要となりますので、時間を取ります。結果、伴奏の左手の最初の和音は、次の和音を弾くまでに時間が必要となり、その通りに時間を取って下さい。
以下、このような細かいパッセージが出てくる部分は同様に時間を食います。くれぐれも右手が機械的にならないように気をつけてください。歌のソロは、8小節目まで続きます。9小節目、別の男性歌手が登場します。同様に即興的に演奏してください。そして12小節目、3拍目で2人の歌手がデュエットになります。15小節目、左のオクターブはくれぐれも大きくならないようにします。
続いてBセクション、26-29小節間、ピークを迎える部分に入りますが、26小節目、是非ともバスのEsを残したいので、右手Gのオクターブと、左手最低音のEsを同時に打伴し、左手残りのEsとBは、最低音のEsを打伴した後に弾きます。そうすることで、バスをキープできますし、濁りを避けることもできます。
31小節目以降より、再び2人の歌手の掛け合いが始まります。そして40小節目、テノール歌手が歌うのですが、そこから先、1拍目の和音はとても弾きにくく、下手をすると望んでいるタイミングを失いかねません。そこで右手も使い、和音を簡単に弾くようにします。以下、右手で弾く、ヘ音記号に書かれてある和音です。
右手で取る音:
40小節目 5つの音のうち上の3つ
41小節目 5つの音のうち上の1つ
42小節目 6つの音のうち上の2つ
43小節目 5つの音のうち上の1つ
44小節目 6つの音のうち上の2つ
45小節目 4つの音のうち上の1つ
46小節目 6つの音のうち上の3つ
47小節目 4つの音のうち上の1つ になります。
52-54小節間、内声で動いている音は必ず耳に達するように弾きます。
56小節目、1拍目表拍の和音は、GBDGと全て右手で取ると楽です。