1. 前奏曲
演奏のヒントの前にまず練習のヒントです。このプレリュードは16分音符がほぼ切れ目無く書かれています。テンポはそう激しく揺れることはありませんが、左右の手で2つずつの16分音符を弾く部分において、粒ぞろいが崩れることがしばしばあります。学習者は左手の16分も右手の16分も最初はフォルテで1つ1つの音に力を入れて練習をしておくと良いでしょう。そうしておくことで、テンポを速めたppのセクションでも粒ぞろいは狂いません。
バロック時代の組曲をアイデアに書かれている曲集ですが、このプレリュードは非常に楽天的で喜びを表現しています。冒頭、特に必要以上にmarcatoにする必要はありません。アクセントが付いている音には少しだけアクセントを付けてください。メロディーは左手で、4小節目4拍目からスタートします。ペダルは常に踏むようにします。9小節目で雰囲気をガラリと変えます。突然、幻想の世界に入り込むような感じです。音量はできる限り落とし、18小節目に向かって徐々に音量を上げていきます。
特に粒ぞろいを注意しなければならないのは以下の小節になります:
19-20 23-24 30-39
粒が揃わない原因は、左手の5の指がしっかりしていない場合や、指の形ができていない場合が典型的な例です。これらの基本的な事柄は修正しなければなりません。よく聴いて粒ぞろいを確かめましょう。
40-42小節間、華麗なるカデンツです。少し時間を取ってもかまいませんが41小節目の下行は一気に加速しましょう。42-55小節間、大きな喜びの表現です。
56小節目から再びテンポを少し緩め、ppで幻想の世界に入ります。68小節目より華やかなカデンツは72小節目(最後の小節)がゴールになります。ブローディングをかけて、大きく演出してください。
個人的には、この曲は少しトッカータ気味に弾いても良いのでは無いかと思います。歌うところと前に前に進む部分のコントラストをハッキリと付け、セクション毎に多彩な音色を駆使されるとよいでしょう。