今堀 拓也 :《同期 - サンクロニザシオン》
Imahori, Takuya:Synchronisation
解説 : 今堀 拓也 (382文字)
この曲には通常の小節線が書かれていないが、それは3つの時間相を同時に記譜するためである。ひとつ目は、ヴァイオリンとピアノが双方テンポを合図を送りあうことによって見計らいながら合わせる部分。二つ目は16分音符単位で正確にあわせて弾くべき部分。最後の一つは周期的な定量拍の中で複雑なリズムが絡まりあい、事実上のずれが生まれるが、やはり正確に合わせる部分。これら3つの異なる時間相が奏者間で応答されることによって、一つの作品内で進む時間が多次元・多層的となり、時間芸術である音楽作品をあたかも空間芸術である美術作品のように、様々な時間的角度で捉えることが可能になる。また、一つのフレーズが持つエネルギーの上昇を細切れに並べることにより、打ち寄せる波のように息遣いも変化してゆく。これが時間層の変化と共にもつれあい、そのストレスがより音楽全体へのエネルギーへと還元される。
《同期 - サンクロニザシオン》
検索