山田 耕筰 :ソナチネ
Yamada, Kōsaku:Sonatine
解説 : 今関 汐里 (513文字)
1916 年 2 月、留学先のベルリンから帰国して山田耕筰は日本で洋楽音楽家としてのキャリアと実績を積んでいく。帰国後に結婚した(入籍はせず)永井郁子との結婚生活は、彼女が実家に戻ってしまったことにより、終わりを迎える。同年 11 月に山田は幼馴染の村上菊尾(河合磯代)と結婚し、翌年 4 月には長女の美沙をもうけている。
長女が誕生したのと同月の 4 月 21 日、山田は《ソナチネ》を作曲した。本作の自筆譜表紙にはこの日付とともに「よしこさんに捧げる Yoshiko-san zugeeignet」という記述がある。この「よしこさん」とは山田耕筰の姉阿部信子の娘、つまり山田の姪にあたる人物を指している。 ところが、作曲から 11 年後の 1928 年 9 月に 《コドモのソナタ》というタイトルのもと初版が出版されており、そこでは山田の長女と長男に書いたとされている。対象が姪なのか、我が子なのかはともかくとして、作曲者の教育的意図のもとに作曲されたことはその音楽的内容からも明白である。3 楽章からなる本作では、難易度の高い技巧は用いられておらず、和声も古 典的な和声法に則っており、和声感を養うのに適していると言える。
解説 : 杉浦 菜々子 (342文字)
1917年。自筆譜には、Sonatineとタイトルが書かれているが、昭和3年の日本交響楽協会出版部による初版では、「コドモのソナタ」として出版された。山田の子供たちへ書いた曲とされ、この初版の自序には、「幼いうちから正しい音楽の形にふれさせ、その形のうちに流れてをる、言葉を離れた音だけの内容ー音のお話しーをよく味わって貰いたいという、作曲者たる父の願ひが、この小曲になったのであります」とある。
第1楽章 変ロ長調 アレグレット
第2楽章 変ホ長調 アンダンテ
第3楽章 変ロ長調 小ロンド
尚、山田耕筰のソナチネは他に、自筆譜と版下のみあり、出版されてこなかった「2つのソナチネ」がある。(2022年にミューズプレスより出版『山田耕筰:ピアノ曲拾遺 第一集《古典様式による初期作品》』)
第1楽章
総演奏時間:0分40秒 ステップレベル:基礎5,応用1,応用2,応用3
動画1
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楽譜0
編曲0
第2楽章
総演奏時間:1分10秒 ステップレベル:基礎5,応用1,応用2,応用3
第3楽章
総演奏時間:0分30秒 ステップレベル:基礎5,応用1,応用2,応用3
ソナチネ 第3楽章
ソナチネ 第2楽章
ソナチネ 第1楽章
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