ショスタコーヴィチを初めて弾く学習者の皆様や、初めて聴く、あるいは初めて知る皆様は是非とも実践して欲しいことがあります。それはとにかく彼の他の作品を聴くこと。これに尽きます。ピアノでは無く是非オーケストラを聴いて欲しいと思います。彼のオーケストラ作品を聴くことによって、彼のオーケストレーションや、カラーなどがよく解ります。そうすると、このピアノ曲を弾く際にも部分部分で楽器を当てはめ、オーケストラとして理解をするようにします。それがこの曲を弾くヒントになります。
ロシアものの作品について音楽的な側面もお話しします。ロシアの作曲家によって書かれた作品は、感情の起伏が激しく、決して「常に」美しさ、優しさ、華やかさ、幻想、微睡み、純粋さ、気品、等を表現しません。時には暴力的であり、ユーモアもあり、皮肉的であり、怒りであり、悲しみであり、人間の感じる様々な心理描写をあらゆる手段で表現します。それは大変に強い感情表現です。故に、演奏は決してきれい事だけでは終わることができません。時には乱暴に、強烈に、打楽器的に演奏される部分もあります。
兎にも角にも彼の交響曲を多く聴くと良いです。そしてかれのオーケストレーションを身につけて下さい。
さて、この曲は決して技術的にも簡単ではありません。人間の指は4-5の指がとても弱く、また独立しにくくできています。例えば1小節目の右手1拍目から2拍目までを 1-2-3-4-5 という指番号で問題無ければそれで構いません。このパッセージは曲中至る所に出てきますが、3-4-5のところで粒ぞろいが微妙に狂ったり、ムラができたりする場合は特殊な部分練習が必要になります。担当の先生に練習方法を教えてもらうと良いでしょう。
あるいは、指番号を工夫します。
1-2小節間の右手の指番号は以下のオプションがあります。
1小節目 1-2-1-2-3-1
2小節目 2-3-4-3-2
13小節目 右手 1-1-2-3-4-5 左手 5-5-4-3-2-1
30-31小節目 左手 4-3-2-1-2-4 3-2-1-2-3
特に1-2小節目の右手に出てくるフレーズが左手に出てくると(30-31小節目など)、粒ぞろいがきちんとできていて、ムラが無い事を確認してください。