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リスト :幻想交響曲(ベルリオーズ)

Liszt, Franz:Symphonie fantastique (Berlioz)

作品概要

出版年:1834年 
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:トランスクリプション
総演奏時間:53分40秒

解説 (1)

総説 : 八木 宏之 (1606文字)

更新日:2015年9月8日
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1827年にイギリスからパリへやってきたシェイクスピア劇団の「ハムレット」と「ロメオとジュリエット」を見た若きエクトール・ベルリオーズ(1803-1869)は、シェイクスピアの作品に強い衝撃を受けるとともに、オフィーリアとジュリエットを演じていた女優のハリエット・スミッソンに身を焦がさんばかりの恋をしてしまう。無名の若い作曲家に人気女優が振り向いてくれるはずもなく、ベルリオーズは愛憎の苦しみのなかで取り憑かれたように作曲に打ち込んだ。こうして、「若い芸術家が恋の苦しみから阿片自殺をはかるが死に切れずに幻想を見る」という具体的なエピソードを描いた《幻想交響曲》が1830年に完成する。  スミッソンへの恋がベルリオーズに《幻想交響曲》を書かせたことは間違いないが、彼を交響曲へと向かわせたのは恋だけではなかった。同じ頃、ベルリオーズは2つの偉大な芸術に触れ、強い衝撃を受けている。1つはベートーヴェンの交響曲である。当時パリで行われていたベートーヴェンの交響曲の連続演奏会は若きベルリオーズに計り知れない影響を与えた。2つ目はネルヴァルの仏訳で出版されたゲーテの『ファウスト』を読んだことである。燃えるような恋とベートーヴェンと『ファウスト』という3つの要素が混ざり合いながら《幻想交響曲》は書き上げられていったのである。世界初のサイケデリック・アートとも言えるこの衝撃的な交響曲は、スタンダールの『赤と黒』やドラクロワの「民衆を導く自由の女神」と共に、7月革命の激しいうねりを含んだ、フランス・ロマン主義を代表する芸術作品として歴史に名を刻むこととなる。  第一楽章で提示される恋人を表す固定楽想(イデ・フィクス)は、全楽章で形を変えながら登場する。この固定楽想は音楽の中で具体的な物語を語ることを可能にした画期的な技法であり、のちにヴァーグナーの示導動機(ライトモチーフ)の原点となった。交響曲に標題(プログラム)を与えるという発想はベートーヴェンの《田園交響曲》に影響されたものであることは間違いない。ベルリオーズは、標題によって音楽の漠然としたイメージを伝えるというベートーヴェンの発想を《幻想交響曲》においてさらに発展させたのであった。管弦楽の拡大というベートーヴェンの夢もまた、《幻想交響曲》に引き継がれた。こうしてベルリオーズは、ブラームスとは異なる側面でベートーヴェンの後継者となり、《幻想交響曲》は交響曲の歴史の中でベートーヴェンの革命的精神を次世代に継承する役割を果たしたのである。    フランツ・リスト(1811-1886)は様々な作曲家の管弦楽作品やオペラをピアノのために編曲しているが、その中でも《幻想交響曲》のトランスクリプションはベートーヴェンの交響曲のそれと並んで特に重要なものであろう。彼は1833年9月に《幻想交響曲》のピアノ編曲版を完成させた。リストは生涯にわたってベルリオーズと親交を結び、彼の作品の紹介に尽力したが、《幻想交響曲》のトランスクリプションがこの作品の受容に果たした役割は決して小さくはない。作品の完成後、10年以上もの間オーケストラ・スコアが出版されなかったにも関わらず、 このリストによるトランスクリプションは編曲のすぐ翌年、1834年に出版された。同じ年の12月28日のパリでのコンサートで、リストはこのピアノ版《幻想交響曲》を初めて演奏している。当時のパリにおけるリストの影響力を考えれば、ベルリオーズにとってこれは大きな意味を持っていた。ロベルト・シューマンは、1835年に『新音楽時報』のなかでベルリオーズと《幻想交響曲》を好意的に紹介しているが、このシューマンによる批評もリストによるトランスクリプションに基づいたものであった。少なくとも作品受容の初期においては、このリストによるトランスクリプションが果たした役割は計り知れないのである。

執筆者: 八木 宏之

楽章等 (5)

夢-情熱-

総演奏時間:12分20秒 

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舞踏会

総演奏時間:6分10秒 

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田園の情景

総演奏時間:18分10秒 

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断頭台への行進

総演奏時間:6分00秒 

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サバトの夜の夢

総演奏時間:11分00秒 

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