ここに書かれているテンポマーキングや、non legatoなどの表記は、作曲家が実際に書いたものかどうかは不明ですが、一応この楽譜に従ってみましょう。この曲は実に様々な考え方が出来る曲で、学習者は担当の先生とよく相談して、曲の構成を考え、ダイナミックやアーティキュレーションを決定していきましょう。
この16小節の曲の全体像を見ると、興味深い事がわかります。筆者の楽譜は4小節ずつ、4段、各フレーズが書かれています。すなわち、1~4小節間、5~8小節間、9~12小節間、13~16小節間で4段になります。
そうすると、左半分の小節、1,2,5,6,9,10,13,14小節は、4分音符と8分音符が主体のメロディーで構成され、バスは、多くの場合、1拍毎動いていることがわかります。
ところが右半分の小節、3,4,7,8,11,12,15,16小節は。多くの8分音符で構成され、バスの動きが無かったり、2分音符のような落ち着いた音符で書かれていたりしますね。
筆者の受けた印象になりますが、この左半分の小節と右半分の小節はそれぞれ、質問と答えのような、応答する関係、あるいは、男性と女性の会話、男性の踊りと女性の踊り、等、4小節が1つのフレーズと考えるより、2小節ずつが異なった場面やムードを出していると考えます。
左半分は動きがあり、右半分は動きが止まるというイメージでも良いかもしれません。
例えば、1~4小節間、最初の1~2小節間は生き生きとフォルテで演奏し、3小節目でpに落としてから4小節目の最後に向かって少しずつクレシェンドをかけていき5小節目に入るという強弱を付けても良いと思います。
対して、5~8小節間、5~6小節間は再び生き生きとフォルテで、そして7~8小節間は今度は
衰退していく感じでも良いかもしれません。
後半、前半とは異なったことが起きます。9~10小節間、生き生きとした動きのある小節間は前半と変わりが無いですが、11~12小節間、この曲では最も高い位置にある音、Fが登場します。前半とは少し雰囲気が違いますね。
後半は、故に、例えば9小節目から右手のフレーズは徐々に上行して、10小節目の3拍目、最も高い位置のFに達して、ここで鮮やかなトリルがあり、そのままテンションを下げずに11小節目を弾き、12小節でディミヌエンドをかけていくという考え方も出来ますね。
13~16小節間も9~10小節間と同じように考えることができます。
いずれにせよ、多くの考え方により、曲は変化します。自分の考え方で曲を演奏してみて下さい。