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ネーフェ :カンツォネッタ ハ長調

Neefe, Christian Gottlob:Canzonetta C-Dur

作品概要

楽曲ID:17939
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:0分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
原曲・関連曲: 曲集・オムニバスプレ・インベンション

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎3 基礎4 基礎5

楽譜情報:5件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1804文字)

更新日:2018年3月12日
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この曲は実に色々な演奏法があります。そして譜面も色々な版があります。ダイナミックが付けられているもの、アーティキュレーションが書き込まれているもの、等です。筆者が今見ている楽譜にはダイナミックやアーティキュレーション、またテンポ等が一切書かれていません。恐らくこれがオリジナルの楽譜ではないかと予想できます。  まずテンポの話になります。これは2/4拍子で書かれています。バロック時代の2拍子という拍子はとても速く演奏されることが一般的です。勿論速く演奏しても良いのですが、この曲はどちらかというとホモフォニーに近い書き方をされており、伴奏の上にメロディーラインが乗っかっている形です。ここからは筆者の独断的な判断となってしまうのですが、このメロディーラインを見る限り、どうしてもテンポの速い要素は見ることができません。むしろゆったり、たっぷりと歌う要素を見いだすことができます。  あまりにも速すぎる演奏となると、例えば15小節目などはとても機械的に処理されるのではと感じます。最終的には先生が判断されることではありますが、一応助言としてお聞きください。  形式はABA形式で、A 1-8 B 9-16 A 17-24 で大変解りやすいと思います。前半Aから見ていきましょう。この8小節間は3つに分けます。即ち、1-2小節間、3-4小節間、5-8小節間の3つです。和声的にお話をさせて頂くと、1-2小節間はドミナントで終わり、3-4小節間はトニックで終わっていますね。故に、筆者は1-2小節間のほうが、3-4小節間より若干テンションを高く感じます。1-2小節間は文章で言うと読点(、)。3-4小節間は句点(。)だと思います。  5小節目の終わりから6小節目の頭にかけてが最もダイナミック的には大きくなるところではありますが、よく起こる現象として、5小節目1拍目表拍の右手Cから既に大きく弾いてしまう学習者がいます。原因として、この音は1の指で弾かれる事が多く、それが理由でもあります。pから始まり、アルペジオを利用してクレシェンドをかけます。決して最初の音からフォルテにならないように気をつけます。  さて、この前半8小節には非和声音がいくつかあります。今回注目すべきはサスペンションと呼ばれる非和声音で、2小節目、4小節目、8小節目の3箇所あります。2小節目の和声はGHDですので、GHD以外の音は非和声音になります。つまりは1拍目のEの音が非和声音になります。しかしこのEはどこから来たかというと、前の小節の最後の音であるEがそのまま引っ張られて次の小節まで来てしまったと考え、これがサスペンションです。このサスペンションという非和声音は強拍に来ることが多く、音楽的に特別な効果を出します。ちなみに、このEを抜いて、いきなりFを1拍目に弾いて見て下さい。これでも音楽としては十分成り立つのですが、このEを弾くことで、音楽におしゃれな感覚が生まれます。4小節目も8小節目も同じです。そしてこのサスペンションの扱いは、必ず次の音を弱くすることにあります。2小節目の2拍目右手Fは、その前の非和声音であるEが解決した音です。故にEが大きく、Fは消えるように弾きます。同様に4小節目と8小節目も解決音は弱くします。  Bセクションでは、3つのシークエンスが来ます。9-10が1つ、11-12が1つ、13-14が1つです。さてこの3つは3つとも表情が異なります。どのユニットが最もテンションが高いか、どのユニットが最も心安まるか、考えてみましょう。そしてそれぞれを異ならせて弾くことが重要で、この3つのユニットを決して同じように弾かないようにします。  15小節目、1拍目右手のDはpで。そしてそこからの16分音符は軽く、ppで弾きます。硬くならないように注意します。16小節目、1拍目右手のCは経過音という非和声音です。通常経過音は弱拍の位置に来ることが多いのですが、これは強拍に来ていますね。16分音符から下行してCに辿り着くわけですから本来はかなり弱い音になるべきなのですが、それでも2拍目のHよりは若干でも良いですので大きく弾くようにして下さい。  17-24小節間、最初のAが戻ってくるだけに過ぎません。8小節目よりも若干24小節目の方をゆっくりめに弾きます。終わりと言うことが解るようにするためです。

執筆者: 大井 和郎