山本 裕之 :フォールマ
Yamamoto, Hiroyuki:Forma
執筆者 : 山本 裕之 (269文字)
西洋の記譜法が長い時間をかけて捨ててきた「音の曖昧性」は、私の作曲に多くの示唆を与えてくれる。
この曲では古典的な四和音のアルペジオとその断片がまくしたてられるように弾かれるが、それらは粒として聴かれる余地をだんだん奪われ、集合し融合し、新しく「曖昧な楽音」として形成される。
これは私が1995年より取り組んでいる「楽音の不明瞭化」 のひとつの手法であるが、その意味では、この曲は私の音楽の一側面しか顕していない。
1996年に渋谷淑子氏の初演に よって第13回現音作曲新人賞を受賞している。
なお、タイトルはラテン語で「成り立ち」を意味する。
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