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スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ ヘ長調 K.17 L.384

Scarlatti, Domenico : Sonata F-Dur K.17 L.384

作品概要

楽曲ID: 1652
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分20秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:展開1 展開2 展開3

楽譜情報:3件

解説 (2)

執筆者 : 丸山 瑶子 (873 文字)

更新日:2010年1月1日
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ソナタ K1. - K.30について

スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。

序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。

全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。

なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。

K. 17 Presto

上声と、低声または内声の3度と6度の平行が全体を特徴づける。形式に関しては後半が作品冒頭の動機で始まらないことが注目される。これは前半が冒頭の分散和音で終わるためだろうが、K. 16までこうした例はほとんどなかった。なお前打音が加わったり、連続して長い下行となる刺繍音型のような動機の変形が楽曲構成の要となっている。

執筆者: 丸山 瑶子

演奏のヒント : 大井 和郎 (597 文字)

更新日:2025年12月14日
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巷での音源を聴く限りでは、Allegroでは無いかと思うほどテンポが遅い音源が多いです。Prestoと書いてあるのであれば、Prestoで、生き生きと弾いて欲しいのですが、おそらく後々のパッセージを考え、その難しいパッセージの小節を基本のテンポと設定し、故に冒頭が遅くなるのでは無いかと想像しております。

筆者の場合、ハープシコードで演奏するように、タイミングを自由にして、拍子さえも判らなくなるような演奏は否定をしませんが、出来る事であれば、拍子は崩さずに弾いて欲しいです(あくまでも筆者の好みでありますので、最終的には奏者に委ねられます)。

このソナタはとても楽天的で、技巧で魅了するところもあります。速いパッセージは、目の覚めるように、生き生きと、そしてさらっと弾いて欲しいです。その場合、一つ一つの音符に力を入れていては弾けません。例えば、20小節目の右手は、legiero で、一気に(1つのモーションで)弾くようにします。

そして指番号の工夫次第では難しいパッセージも楽に弾けます。例えば49小節目、最初のC2つは、左手で取ります。そして、右手はDから1231234の指使いでかなり速く弾けますのでお試し下さい。

執筆者: 大井 和郎
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