close

スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ ホ短調 K.15 L.374

Scarlatti, Domenico : Sonata e-moll K.15 L.374

作品概要

楽曲ID: 1650
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:3分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:展開1 展開2 展開3

楽譜情報:2件

解説 (2)

執筆者 : 丸山 瑶子 (811 文字)

更新日:2010年1月1日
[開く]

ソナタ K1. - K.30について

スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。

序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。

全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。

なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。

K. 15 Allegro

16分音符の一様なリズムが支配的で、そのリズムが続く間は大半の部分で両手が交差となる。前半、後半共に、冒頭と各半部分を閉じる終止カデンツの繰返しへ入るところのみ両手が通常のポジションへ戻る。

執筆者: 丸山 瑶子

演奏のヒント : 大井 和郎 (707 文字)

更新日:2025年12月14日
[開く]

カデンツまでかなり長い道のりの曲です。故に、極僅かに、少しずつカデンツに向かって行く方向性を付けるのですが、あまりにも長い道のりですので、その辺りをどうするか、というのがこのソナタの課題となります。

前半で説明します。最初は原調のe-mollから始まり、8小節目にて不完全終止を迎えます。その後、e-mollとは感じにくい、G-durに感じてしまうフレーズが始まるのですが、20小節目まで基本形で書かれておりません。全て転回形で書かれているため、落ち着きの無さ、不安定、緊張感、が持続しますが、更に、20小節目からはペダルポイント音であるDが切れ目無く続き、本当にG-durと認識させるカデンツを迎えるのは、40小節目になります。

この40小節目で聴いている人達はG-durに転調した事で少し安心感を感じます。しかしその後も左手のバスは、オクターブになり、更にテンションが上がっていき前半を終了します。

課題としては、9小節目から40小節目までをどのように構築していくかという事になります。筆者であれば、40小節目までテンションを決して下げずに、すこしずつクレシェンドをかけて圧迫していくと思いますが、それは奏者の自由です。

後半は、今度はG-durから始まり、e-mollのカデンツを100小節目で迎えます。その後は左手がオクターブになりますので、前半と全くおなじ作りとなります。カデンツまでの強弱をどのように付けていくかがポイントになります。

執筆者: 大井 和郎
現在視聴できる動画はありません。  

参考動画&オーディション入選(1件)

鯛中卓也さんのお勧め, ルージチコヴァー, ズザナ