スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ ト長調 K.14 L.387
Scarlatti, Domenico : Sonata G-Dur K.14 L.387
作品概要
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:3分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:展開1 展開2 展開3
楽譜情報:2件解説 (2)
執筆者 : 丸山 瑶子
(874 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : 丸山 瑶子 (874 文字)
ソナタ K1. - K.30について
スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。
序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。
全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。
なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。
K. 14 Presto
前後半各部分の冒頭と最終小節の音形の一致や、中間と最後のカデンツの対称的なリズムに、シンメトリカルな構成への意識が伺える。K. 12と似たように低声がやや高めの音域にあることが多いため、相対的に跳躍で至る低音域の響きが際立っている。また低音域への跳躍はオクターヴ和音と並んでドミナントの強調にも寄与していると言えよう。
演奏のヒント : 大井 和郎
(622 文字)
更新日:2025年12月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (622 文字)
まず、極めて楽しい楽天的な性格の曲ですので、ペダルはできる限り使用せずに、生き生きとしたスタッカートを使い、ドライな音で進んで良いと思います。勿論欲しい場所にはペダルを入れて構いません。しかし、2小節目にあるような、細かい音符でスケールが書かれてある部分は、ペダルを入れると音がクリアーに聞こえませんので、音価が小さい場所にはペダルに注意して下さい。
曲全体は、4〜5単位のシークエンスが多く登場します。ゆえに、「方向性」が重要になります。例えば、4小節目3拍目から2拍単位で6小節目の終わりまで、全部で5つあるシークエンス(シークエンスと呼べるかどうかも確かではありません)は、2度ずつ上行下行を繰り返すのみです。決して平坦にならないように、クレシェンド、あるいはディミヌエンドをかけて、方向性を持たせて下さい。
26〜27小節間は、裏拍に右手が入って来ますので、これはむしろ強調することで面白さが増します。この部分の左手は上行しておりますが、上行は必ずしもクレシェンドとは限らず、ディミヌエンドでも構いませんし、例えば、12〜14小節間の同じ場所はクレシェンド、26〜27小節間はディミヌエンドとしても良いと思います。
方向性さえあれば、あとは自由に楽しく弾いて下さい。
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