ハイド 1913-2005 Hyde, Miriam
解説:飯田 有抄 (561文字)
更新日:2008年3月1日
解説:飯田 有抄 (561文字)
19世紀ヨーロッパのピアノ文化において「コンポーザー=ピアニスト」と呼ばれ、華々しく活躍した人々がいる。リストやショパン、ルビンシテインなど、超絶的な技巧を要する自作品を自ら演奏し聴衆を魅了した。日本ではほとんど知られていないことだが、オーストラリアにはこうした「コンポーザー=ピアニスト」の伝統を20世紀に引き継ぐ芸術家たちがいる。これは、オーストラリアが新興国として欧州の音楽文化を取り入れる際、20世紀の前半までイギリス由来の保守的な音楽教育に踏みとどまっていたことと大きな関係がある。ミリアム・ハイドもまた、そうした「コンポーザー=ピアニスト」の伝統を引き継ぐ一人である。彼女は20世紀をほぼ覆うように生きながら、その音楽には色濃く19世紀的なロマンチシズムを残し、技巧的で華麗な作風と、キャラクターピースに見られる描写性・抒情性に富んだメッセージを投げかける。作品はオーストラリア国内で頻繁に演奏される他、彼女が体系付けをはたしたグレードシステムのシラバスにより、そのピアノ教育における功績が生き続けている。
オーストラリア国営放送ABCやサザンクロスレーベルからCDが出ており、とくに後者(Southern Cross no. 1027)は彼女の80代の自作自演だが、瑞々しく情熱的な演奏を耳にすることができる。
作品(12)
ピアノ独奏曲 (6)
★ 種々の作品 ★ (7)