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ハンニカイネン 1892-1955 Hannikainen, Toivo Ilmari

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  • 解説:小川 至 (691文字)

  • 更新日:2018年6月14日
  • イルマリ・ハンニカイネン(ユヴァスキュラ1892.10.19-クフモイネン1955.7.25)

     フィンランドの作曲家・ピアニスト。国際的な活躍を果たしたピアニストでありながら、作曲家としても多くの作品を残している。ハンニカイネンはフィンランド、ウィーン、ロシア、ドイツ、フランスなど西欧各地での学習を重ねた。ピアニストとしては、ロシアの巨匠アレクサンドル・ジローティの教えが大きく影響しており、その後もジローティとはピアノ・デュオとしても西欧各地を回る活動を行った。後にパリにてアルフレッド・コルトーの薫陶も受けている。フィンランドにおける教育活動にも深く貢献を果たしており、シベリウス音楽院設立当初からのピアノ教授を務めていた。彼のもとからは、エーリク・タヴァッシェルナ、ヨーナス・コッコネン、タパニ・ヴァルスタなど、次世代を担う重要な音楽家たちを輩出していった。作曲家としては、フィンランドにおいてはエルッキ・メラルティン、ウィーンではフランツ・シュレーカーに対位法を、ロシアではマクシミリアン・シテインベルクに師事した。ピアノ小品を中心としながら、大規模なものとしてピアノソナタ、《幻想的変奏曲》、ピアノ協奏曲、ピアノ四重奏曲などがあり、加えて100曲以上の歌曲と、歌劇《収穫の踊り》を残している。その音楽には印象主義的な色彩感も時折見て取れるが、同時に彼自身の豊かで複雑な感情を反映しているであろう、劇的な表現も特徴としている。芸術家としては神経質すぎる程のその性質ゆえか、1955年のクフモイネンの船旅の中でその命を失った彼は、自殺であったのではないかとの説が有力である。

    執筆者: 小川 至
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