八村 義夫 1938-1985 Hachimura, Yoshio
解説:仲辻 真帆 (692文字)
更新日:2018年4月25日
解説:仲辻 真帆 (692文字)
1938(昭和13)年10月10日、東京にて出生。父は高校の数学教師、母は小学校の音楽教師であった。7歳となる年に太平洋戦争が終わり、集団疎開をしていた群馬県松井田の小さな 寺で「敗戦の詔」をきいた。9歳の頃よりヴァイオリンを習い始め、「子供のための音楽教室」 (現在の桐朋学園大学音楽学部附属施設)に通い、柴田南雄や入野義朗からソルフェージュを教わった。後に松本民之助に師事し、ピアノと作曲を学ぶようになる。駒場高等学校を経て、1957 年、東京藝術大学音楽学部作曲科に入学した。 八村義夫の「作品1」は、無調性や不確定性を用いた《ピアノのためのインプロヴィゼーション》 (1957年)に付されている。浄瑠璃 《桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)》に取材した《しがらみI》 (1959年) や、P . ブーレーズの影響を受けた《一息ごとに一時間》(1960年)などを発表し、1963年頃からは武満徹の浄書作業を手伝った。1969年に 《星辰譜》を、1970年には《しがらみⅡ》を完成させ、1975年に初演された《オーケストラとピアノのための「錯乱の論理」》で福山賞を受賞、国際現代音楽協会に入選した。1985年6 月15日、 《ラ・フォリア》を未完成としたまま、 46歳で逝去。
音への触感を強く意識し、情念的、主情的な作品をのこした八村義夫。その瞬間に音がもつ 「エモーショナルなエネルギー」によって動かされるものこそ音楽であり、瞬間瞬間を常に「現在形」で語るべきであると考えていた。八村に とって作曲は、内的な欲求により深層心理に突き刺さる表現を得ようとする行為であった。
作品(3)
ピアノ独奏曲 (1)
★ 種々の作品 ★ (2)