1987年9月に急逝した作曲者の愛娘「真理子」に捧げる鎮魂歌(レクイエム)の意義を込めて作曲された。尺八独奏のために1988年1月に作曲され、同年1 月27日に新宿文化センター小ホールで行われた「BANQUET'88作品展」において、福田輝久氏によって初演された。2004年にフルート独奏用に改編した版を作成。シド音楽企画主催の「日本の音楽展〜作曲賞」において「優秀賞」を受賞。2023年にクラリネット用が作られ、2024年9月20日にピティナ公開録音コンサートで末次真美によりクラリネット版が初演された。尺八版とフルート版は持ち替えがあったが、クラリネットは持ち替えなしで演奏が可能。オリジナルの尺八版は、マザーアースより出版されている。 演奏時間約15分30秒。5楽章からなり、1〜2楽章および4〜5楽章は続けて演奏するよう指定されている。 4楽章で高潮し、その勢いのまま5楽章に突入する。5楽章の中頃までその勢いのまま、心が乱れる不安定な状態が続く。後半で悟りを開き、落ち着きを取り戻し、短いレクイエム(第1楽章の冒頭はそのデフォルメ)を奏でて、昇天を見送り祈るように静かに曲を閉じる。
※この解説は、公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーションによる助成を受けて制作いたしました。