作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(559 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (559 文字)
この演奏のヒントは、ペダルを使わないことを前提に書きます。冒頭の表示記号には、Smoothlyと書いてありますので。恐らく、冒頭2小節間は、スタッカートにせず、レガートにアルペジオを弾けば良いと思います。
この曲の仕上げで難しいのは、「繰り返させるフレーズをどのように異ならせるか」 に尽きます。1~4小節間と5~8小節間は、音もリズムも全く同じです。9~10小節間と11~12小節間も全く同じです。そして、13~16小節間も、1~4小節間と同じです。これらの「同じフレーズ」は同じように弾かず、どこかしら変化が欲しいです。
強弱マーキングに関しては、1小節目にmpが出てくるだけで、後はなにも書かれていません。5~8小節間は、少なくとも強弱を1~4小節間とは異なる強弱に設定してください。
1~4小節間、5~8小節間ともに、3~4小節間と7~8小節間で左右の音程が6度になります。
くれぐれも左手が大きくならないように、右手を出すようにしてください。6度は要注意の音程です。
9~12小節間の左手は「保続音」です。決して大きい音で弾く音ではありません。右手のフレーズとは異なった、大人しい音に留めておきます。その間の右手は、スラーが書かれていますので、各小節、3拍目は決して2拍目よりも大きくならず、消えるように弾いて下さい。
解説文 : 熊本 陵平
(537 文字)
更新日:2024年10月9日
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解説文 : 熊本 陵平 (537 文字)
全体の構成としては、二部形式。
A[a(1から4小節)+a(5から8小節)]
B[b(9から12小節)+a(13から16小節)]
小楽節aが5から8小節で少しの変化もなく反復される。全体で見ると、小楽節aは全く同一の構成で3度現れる。
ヘ長調の明るい調性は、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」にも象徴されるような、穏やかな雰囲気を持ち、主題の2小節にまたがる分散和音線或いは4小節の上下行、中間楽節9から12小節における2小節間の和声の揺れはおおらかで柔らかな春の芽生えや息吹を感じさせる。
主題の特徴として、四分音符の分散和音線があるが、これは四分音符ゆえにそのまま幼児に弾かせると1音1音になりがちだが、楽譜には2小節にまたがるスラーが書かれてある通り、2小節を一つの流れとして繋ぐような指導上の工夫が欲しい。主題全体としての構成は上下行のラインであり、下行はドミナント→トニックの和声解決が見られるためにそうした和声表現も含んだニュアンスがあるべきだろう。
終止はⅠ和音の第一転回形で不完全終止となるが、ピアノ教育における初歩段階での教育目的を含む楽曲であるがために、ここではそうした転回形による和声の不安定感よりも、和声解決を主とした表現を優先した方が良いと考える。
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