ポップスのメジャーなデュエットナンバー4点を素材に、2台ピアノで主旋律と対旋律を交互に弾き合う。サブタイトルは「クラシックな対旋律集」(Classic Countermelodies for two pianos, four hands)。Sheila Powers Converse and Linda Weisner Maranis への献呈。グレードはチェルニー30番程度。アンサンブルのおもしろさが気軽に味わえる。近年トニー・ベネットとレディ・ガガの共演で評判になった「外は寒いよ」を筆頭に、広く親しまれた名ナンバーが並ぶ。2台の個々のパートは一見物足りないほどシンプルな作りだが、奏者間のメロディのかけあいが絶妙で、合奏するとなんともあか抜けてしゃれた雰囲気が出る。音数の少なさは洗練に直結する。ひとくちに2台ピアノといっても種々のタイプがあり、旋律と伴奏の役割分担型、ソロの交替演奏型などあるが、本作はそのいずれとも異なり、簡素であっても徹底して両奏者を対等に扱い、線をからませる。この書法こそが2台ピアノの王道であり、中途半端な難曲よりもアンサンブルの本質に肉迫できるのである。
第1曲 外は寒いよ Baby, It’s Cold Outside [from the Motion Picture, Neptune’s Daughter] (Word and Music by Frank Loesser) Moderately slow, 4/4, G major
第2曲 弾いてシンプルなメロディを Play A Simple Melody [from the Stage Production, Watch Your Step] (Words and Music by Irving Berlin) Leisurely, 4/4, D major
第3曲 サムズソング Sam’s Song (Word by Jack Elliott, Music by Lew Quadling) Lilting, 4/4, F major
第4曲 恋に落ちて You’re Just In Love [from the Stage Production, Call Me Madam] (Words & Music by Irving Berlin) Moderately, 2/2, F major