安倍 美穂 :ちからもちショベルカー
Abe, Miho:
演奏のヒント : 大井 和郎 (519文字)
この曲は、ユーモアの要素も入っている楽天的なムードな曲ですので、楽しく弾きたい曲と考えます。結果、スタッカートを重くせずに、軽快でスムーズな流れになるように仕上げますが、最もネックとなる部分としては、音階の問題で、この音階がスムーズに弾けるかどうかが伴になります。
1小節目や3小節目、左手から始まって右手にバトンタッチをする際に、左手をどの指から始まるかによっても変わってくるのですが、1つ注意したいことは1の指です。例えば、3小節目、4の指から左手がスタートすると、3拍目のCは1の指になります。1の指は5本の指の中では最も強い指で、それが、パッセージの最後の音を弾く場合、必要以上にアクセントが付いてしまい、結果、音階にムラが出来る事になります。気をつけて下さい。
9小節目、3拍目裏拍から4拍目にかけての左手は、右手からのバトンタッチですが、どうしてもBを1の指で弾くのは至難の業となりますので、Bを2の指で取りますと、B-A-G を、2-3-4で弾くことになり、この粒ぞろいが重要になります。どうしても粒がそろわない場合は、Bまでを右手で取り、左手は、AとGを、1-2の指で取ることも可能です。以降、同様に色々工夫してみてください。
解説文 : 熊本 陵平 (637文字)
二部形式である。
A[a(1から4小節)+b(5から8小節)]
B[c主題反行展開(9から12小節)+d終結(13から17小節)]
主調はヘ長調。主題は1から2小節。モティーフはシンプルな音階の上行進行とやや角張ったような動きを持つ4分音符二つのスタッカートと二分音符のテヌート。恐らくこれは標題となったショベルカーの動作を表しているのだろう。
1から4小節にかけては、この2小節の主題がF durからG durへと調性を変えて反復される。高さが変わっただけでなく、調性が変わることで著しく色合いや明るさも変化している。5から8小節では、今度はF durからC durへと転調している。このように目まぐるしく転調する展開は音楽においてあまり無いため、調性の比較など教育目的として活用できる楽曲だと考える。
中間楽節は主題の反行展開ということで、下行進行する音階的モティーフから始まる。主題の上行形と比べて、どのように表現を変えるべきか考えることも楽しいだろう。
d終結楽節がやや長いのは、16小節の動きを挿入することで終止を延長しているからである。13から15小節にかけて、あたかも終わりを迎えようとする中で、fis音を配置することで、意外性が感じられる。最後は完全共和音程5度→8度で力強く完全終止する。
【2024ピティナコンペ課題曲】ちからもちショベルカー
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