テュルク, ダニエル ゴットロープ : 小さなワルツ(『簡単で楽しい120のハントシュテュック』Vol. 1-14) ニ長調
Türk, Daniel Gottlob : Ein kleiner Walzer. D-Dur
作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(699 文字)
更新日:2023年4月16日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (699 文字)
これから書くことは筆者の主観ですので、1つの考え方とお考え下さい。このわずか8小節の曲は、リピート無しで弾くのは難しいですね。リピートは是非行って下さい。その上での話になります。
1~4小節間を見てみましょう。最も高い位置にある音符は、1小節目のAと、4小節目のAですね。この2つ、どちらのAを大きくした方が良いでしょうか?筆者個人的な意見ですが、筆者であれば、1小節目を大きく弾きます。音価が大きいことが理由です。4小節目は16分音符ですので、これをあまり大きく弾くと、硬く聞こえてしまいます。4小節目は軽やかに聴かせたいところですので、1小節目を大きく、先に行くに従って徐々に弱くしていきます。
5~8小節間を見たとき5~6小節間は2つのシークエンスがあり、上行していますね。ここで2つの考え方ができます。5小節目の1つめのシークエンスよりも、6小節目の2つ目のシークエンスのほうが高い位置にありますから、2つめを大きくと言う考え方です。
逆に、5小節目の1つめのシークエンスはドミナントであり、6小節目の2つ目のシークエンスはトニックですので、和音が解決していると考え、2つめの方を弱く弾く考え方です。
前者の場合であれば、7小節目、8小節目に向かって更にクレシェンドをかけテンションを揚げていき、後者の場合であれば、そこまで音量を上げずに静かに8小節目を迎える奏法です。
これら2つの奏法ですが、リピートをするのですから、1回目はクレシェンド、2回目はディミヌエンドというように、違いを付ける事もできますね。リピートは全く1回目と同じ事をするよりも、異なっていた方が平坦さを避けられます。ご参考まで。