作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:リダクション/アレンジメント
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(503 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (503 文字)
この曲は、ポリフォニーの要素が強く、2声のポリフォニーと考えます。学習者は各声部を個別に練習して、暗譜することをお勧めします。その上で、2声を合わせるのですが、この曲は多くの6度が出てきます。そこが気をつけるところです。
6度というのは、右手で弾いた場合、内声は必ず1か2の指で弾くことになり、外声を担当する4と5の指が強くないことには、内声の方が音量が出てしまう、大変に微妙な音程です。この6度が上手に弾けないと、他の度数よりも技術の有無が目立ってしまう事になりますので、細心の注意が必要になります。2声のポリフォニーと言いましたが、メロディーラインは右手にあると考え、左手の声部はそれをサポートする声部と考えます。内声の方が大きくなりすぎないようにして下さい。
故に、左手の声部は右よりも音量を落とし、異なった音質で弾いて下さい。その上で、左手のラインのシェープも忘れないようにします。
この曲のテンポ、アーティキュレーション、間の取り方、等は主観的になりますので、正しい答えというものはありませんが、少なくとも深刻な曲ではなく、楽天的な要素がありますので、ある程度の生き生きとした雰囲気は欲しいところです。
解説文 : 熊本 陵平
(672 文字)
更新日:2024年10月9日
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解説文 : 熊本 陵平 (672 文字)
たのしいポリフォニー1(ヤマハ出版)より出典。この教本においては、演奏レベルとしてバイエル習得程度の段階にある弾き手を想定した内容となっている。いわば、ポリフォニーのピアノ曲における導入的楽曲である。
上下声部の反進行や異なる動きを見せた時の、特に下声部(左手部分)のニュアンス付けやバランスは特に注意したい。
楽譜でのテンポ指示はアンダンテである。アンダンテは歩く速度。ここでは6/8の6拍子感(三つの八分音符を1拍と捉えた、2拍子感覚)の特徴を考えて、テンポ指示をただの速度表記と考えず、楽曲の性質、6拍子特有の揺れが表現できる程度のテンポ感を考えたい。構成が見えないぐらいに極端にゆっくりなテンポや、逆に楽曲の性質が捉えにくくなるほどの極端な速いテンポは禁物。音域に急激な動きがない、穏やかなモティーフを持つ主題からも理解できるように、滑らかで穏やかな表情が全体を通して感じられる。
全体の構成は小規模な三部形式。
a (1から4小節)+b (5から8小節)+a(9から12小節)
a楽節の4小節1カッコ目は不完全終止、2カッコ目は完全終止となっており、やはり完全終止の2カッコ目で主音が4拍目低音に進行することでより安定感が得られる。
B楽節においては、より旋律が大きく動いていて、音域の動きが穏やかなa楽節とは対照的な性質となっている。mpやmfのデュナーミク指示もただの音量的変化と捉えるのではなく、こうした楽節の性質変化として捉えて表現を考えたい。(※結局、デュナーミクの指示がデシベルとならないのもこのことに帰結するのだろう。)
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