岩間 稔 :大きな栗の木の下で(外国曲)
Iwama, Minoru:
演奏のヒント : 大井 和郎 (1035文字)
ポリフォニーで書かれてある2声とお考え下さい。この2声のそれぞれのフレーズのピークポイントは、殆どズレがありません。すなわち、右手がピークに達する場所では、ほぼ左手もピークに達しています。
1~2小節間を説明します。右手はGから始まり、1小節目4拍目でDに達します。Dに達したら、2小節目 HHAAGと下行しておりてきますのでディミヌエンドをかけます。一方左手は、ピークポイントが2小節目1拍目のDになります。1小節目では3拍目のGが2拍目のHとAを通っておりてきますので少しだけディミヌエンドをかけますが、そこから4拍目Hに向かい、2小節目1拍目のDに達します。Dに達したら、D C H G と下行していますので、ディミヌエンドをかけます。
3~4小節間、右手は4小節目1拍目のEがピークポイントになり、そこから徐々に下がります。一方左手は、3小節目3拍目の2分音符Hは、前の拍の、DCという8分音符が降りてくる地点ですので、Hには力を入れませんが、次の小節の1拍目、2分音符のCがピークポイントになります。
このCにはある程度の力を入れ、その後3~4拍間と音量を下げていきます。
このように、左右のピークポイントは多少のズレはあるものの、ほぼ同じ場所だとお考え頂いて良いので、そのような意味では、ポリフォニーとは言え、ダイナミックコントロール(強弱コントロール)が楽だと思います(左右とも同じ場所でクレシェンドとディミヌエンドをかければよく、左右が同じ場所で一方がクレシェンド、もう一方がディミヌエンドなどというような事はない)。
そうなると気をつけることは、まず、フレーズの最初と最後の音に対して決してアクセントを付けないことです。もしかしたら5小節目の右手Gは、1拍目がピークかもしれませんので、こういう箇所はフレーズの最初の音から力を入れますが、例えば、6小節目、1~3拍間の左手、CDEFisGは、上行しているにもかかわらず、ディミニュエンドをかけます。最後のGがフレーズの終わりだからです。
フレーズの終わりで、実は目立つ箇所が3箇所あります。それは、2小節目4拍目の左手G、4小節目4拍目の左手G、8小節目4拍目の左手G の3つです。ここは右手がありません。8小節目は2分音符であることはあるのですが、4拍目、右手は打伴をしません。
ゆえにこれらの箇所は左手が目立つことになり、その時にこのGが大きすぎるととても目立ちます。これらのGは本当にppで弾いた方が良いです。
大きな栗の木の下で(外国曲)
【2023ピティナコンペ課題曲 A1級】大きな栗の木の下で(外国曲)
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