作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:教則本
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(452 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (452 文字)
まずは、タイミングを正確にします。拍を感じ、急ぐこと無く仕上げられたら、次に強弱を考えます。基本的には、音が高い位置にあればあるほど感情は高まり、低い位置にあればあるほどテンションは下がると考えますので、4小節目、右手のメロディーがこの曲の最高音である、G に達するところをピークとお考えください。
1小節目クレシェンド、2小節目ディミニュエンドで進み、3小節目ピアノから始まり4小節目のGに向かって音量を上げて行きます。5小節目、6小節目は、1~2小節間と同じ扱いをします。
7小節目は3小節目と同じ素材ですが、7小節目の方が3小節目よりもテンションを上げます。
4小節目に向かうために3小節目はピアノから始まった前半とは異なり、7小節目は初めからメゾフォルテくらいでスタートし、Fに向かって音量をあげ、そこから徐々に下がって行き、8小節目をピアノで終えます。
強弱が出来上がりましたら次にバランスを考えてみて下さい。ピアノ奏法で難しい6度が至る所にあります。6度は必ず、上声部を出して、内声を控えてください。
解説文 : 熊本 陵平
(703 文字)
更新日:2024年10月9日
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解説文 : 熊本 陵平 (703 文字)
アキ ピアノ教本2より出典。この教本は、ソルフェージュ能力とピアノ教育を密接に結びつけたものとして知られる。
このため、手のポジションが優先され、左手開始音はⅠ和音の第3音であり和音としては第一転回形となっているが、これは表現上そうなったのではないと考える。こうした左右の音程の配置は、8度・同度・5度などの完全共和音程ではないことを考え、並行進行による2声部による構成と捉えることができる。そのため、左右のバランスをとるために、左手にも音色のニュアンスを意識する必要がある。
全体の構成は一部形式。1から4小節までと5から8小節までで二つの小楽節と考え、冒頭2小節の同じモティーフを共有している。主題は4小節間で、二つのモティーフによって構成されている。1から2小節は順次進行による滑らかな進行が特徴的で、続く3から4小節では属7和音・根音省略・第三転回形からⅠ第一転回形へ進行するD→T進行というふうに変化しており、1から2小節比べるとより和声感が明確となっている。
表現の可能性としては、これらの変化を鑑み、1から2小節はシンプルに上行と下行を滑らかにクレシェンドとディクレシェンドで表し、続く3から4小節では左手f音(※属7第7音=和声的には下行限定進行音であるので緊張感を伴う)からe音へ向かう意識、右手4小節目では上行する分散和音線はフレーズを開くように表現することも考えられるだろう。
8小節目の終止は最後に左手に主音があるため、完全終止として安定感のある終止となる。
このように、一見すると単純な楽曲ではあるが、構成・構造ともに細々とした変化を捉えることで、より表情豊かな演奏が望めるだろう。
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