アルカン, シャルル=ヴァランタン : 全長短調による25の前奏曲 Op.31
Alkan, Charles-Valentin : 25 préludes dans tous les tons majeurs et mineurs Op.31
作品概要
出版年:1847年
初出版社:Brandus
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:1時間01分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
総説 : 上田 泰史
(998 文字)
更新日:2014年11月20日
[開く]
総説 : 上田 泰史 (998 文字)
出版: Paris, Brandus et Cie, 1847
献呈:Madame James Odier
「プレリュード(=前奏曲)」とは元来ある楽曲の演奏に先立って弾かれる即興的な「指慣らし」の曲またはその行為を指し、リュートや鍵盤楽器の分野で発達したジャンル。19 世紀にはフンメルやショパンの前奏曲集のように規則正しい調配列によって全体を統一した独立した前奏曲集が書かれるようになる。アルカンの前奏曲集もまたこの傾向の延長線上に位置するが、独自の調配列プランに基づく。長調と短調が交互に配置され、長調はハ長調→変ニ長調→ニ長調etc. へと、短調は同様にヘ短調から順次半音ずつ上行する。その結果、24 曲目でホ短調に到達するが、最後に冒頭のハ長調に回帰することで全体が枠づけられる。
第1 番 遅く ハ長調
『25 の前奏曲』を開始するコラール風の小曲。右手の内声に置かれた旋律を前景に浮き立たせ、第5、6 小節と前後の部分の対比を十分強調すること。
第8 番「海辺の狂女の歌」 遅く 変イ短調
「ヒロインの狂乱」は19 世紀オペラの中心的要素(例 ドニゼッティの『ランメルモールのルチア』第3 幕)。強迫観念に取り憑かれた様に同じ伴奏・旋律形が繰り返される。
第9 番「平穏」 静かに ホ長調
ハイドン風の室内楽を思わせる一曲。3 つの声部が独立したパートであることを意識すること。「(平穏な)見かけの割に情熱を内奥に秘めている」とはアルカンの尊敬したベルギーの学者F. - J. フェティス(1784 ~ 1871)の評。
第23 番 十分に速く ロ長調
曲集の中では際立って明るく快活な一曲。声楽的な旋律を主題とし、中間部に副旋律が加わる。主題再現部の半音階的な内声の動きにも十分注意を払うこと。
第22 番「記念日」 十分に遅く 変ホ短調- 変ホ長調
偶数拍子の遅い付点リズムは葬送行進曲を暗示する。むしろ「忌念日」と言うべきか。性格上、快活な23 番と対を為すが、ここでは全体の流れを考慮して順序を入れ替えた。前年に出版された『葬送行進曲』作品26(1846)の余韻とも見られる。
第25 番「祈り」 遅く ハ長調
曲集を閉じる4 声体のコラール。主旋律は中音域に置かれ、時折他の声部と対話する。4 つの声部はいわば合唱隊の別個のパートであるから、縦の響きのみならず各声部の横の動きも十分に意識すること。
楽章等 (25)
私は眠っていたが私の心は目覚めていた;遅く Op.31-13
調:変ト長調 総演奏時間:4分30秒
ゴシック様式で;十分に速く、優雅さたっぷりに Op.31-15
調:ト長調 総演奏時間:2分30秒
ピティナ&提携チャンネル動画(4件)
楽譜
楽譜一覧 (1)

カワイ出版