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ヤマハ : 新版 みんなのオルガン・ピアノの本 3 いいことありそう(イギリスの曲)

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作品概要

楽曲ID:57109
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:教則本
総演奏時間:1分05秒

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎2 基礎3

楽譜情報:1件

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (569 文字)

更新日:2024年5月14日
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この曲が躍動的であるか否かは人それぞれと思いますが、少なくとも、深刻な曲ではなく、楽天的なムードでありますので、あまり重々しくなっても良くないと思っております。

もう1つ危惧されることは、強弱記号が少ないため、曲そのものが平坦な演奏になってしまいがちな曲であり、それは避けなければなりません。

この曲でもっとも大切にすべきは「方向性」です。方向性を付けることで、平坦な演奏を避ける事が出来ます。各フレーズは2小節単位で進みます。この2小節間で、「どこに向かって進んでいくべきか」を考えます。

例えば1~2小節間であれば、2小節目1拍目のメロディーラインBに向かいます。3~4小節間であれば、4小節目1拍目のメロディーAに向かいます。これらのピークポイントに達するまで、例えば1小節目は1拍目よりも2拍目にテンションをあげて、2小節目1拍目に達し、そこから衰退していくと行った流れになります。

これを参考に、他の小節も方向性を付けます。Aセクション(1~8小節間)では、6小節目が最も大きくなりますので、その前の小節の5小節目は、1拍目、2拍目と徐々にテンションを高めていきます。左手も右手をサポートすることを忘れないようにして下さい(左手も方向性を付けます)。5小節目、左手には同じ和音が2つ来ますが、1拍目よりも2拍目を大きく弾くようにします。

執筆者: 大井 和郎

解説文 : 熊本 陵平 (650 文字)

更新日:2024年10月9日
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 三部形式

A[a (1から4小節)+a1(5から8小節)]

B[b(9から12小節)]

※ダルセーニョにより、Aが反復され、三部形式となる。

 A楽節が8小節に対して、B楽節は4小節というふうに不均等な構成である。A楽節が反復する間に短い間奏であるB楽節が挟まっているようにも考えられる。B楽節はA楽節に比べ、旋律的な動きも和声的にも動きが少ないこともこうした考えのポイントに挙げられる。

 和声的には、全曲を通して、Ⅰ→Ⅳ→Ⅰのサブドミナント進行が印象的であり、この進行はドミナントが和声の緊張のピークに達するドミナント進行に比べ、表情として柔らかい性質を持つ。特にⅣ和音は6小節でも転回配置ではなく基本配置でフェルマータが付けられ、この和音の持つ性質を強調表現されている。とはいえ、5から8小節での和声カデンツはⅠ(T)→Ⅳ(S)→Ⅰ第二転回、Ⅴ7(D)→Ⅰ(T)であり、Ⅳ和音はこのカデンツの一部であることから、フェルマータは表現しつつも8小節まで和声解決を意識することは肝要だと考える。

 B楽節では9から10小節の旋律が続く11から12小節において音域を変えて、低音域にて模倣されている。デュナーミクもフォルテからピアノへと変化があるが、ピアノの楽器の特性として、単に強弱の変化と捉えるのではなく、音域が変わることで音色も変化するので、違う二人の人物などの擬人化を想像してみると良いかもしれない。こうした音域の変化に伴うニュアンスの変化は、作曲家は当然そのように意識して書いていると考えて良いだろう。

執筆者: 熊本 陵平

楽譜

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