トンプソン : 現代ピアノ教本2 小さなポーランドのおどり マズルカ
Thompson, John Sylvanus : Modern Course for the Piano 2 *in preparation*
作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(902 文字)
更新日:2018年3月12日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (902 文字)
小さなポーランドの踊り
25小節の短いマズルカですが、演奏法によって大きく変わります。まず注目したいのは2拍目に付けられているアクセントです。2拍目の音にアクセントが書かれてある小節が多くありますね。マズルカですのでこのようなリズムになるのですね。最初に申し上げるヒントとしては、この2拍目のアクセントの付いた音に「飛び込まない」ようにする事です。以下しばらくタイミングの話になります。
つまり、1拍目から2拍目に向かうとき、走らない事。時間を十分取って2拍目の音を弾くようにします。そしてこの1拍目から2拍目に引き延ばした時間を、他の小節などで補い、辻褄を合わせるようにします(ルバートの感覚として、引き延ばしっぱなしや、詰めっぱなしのタイミングではなく、引き延ばした分だけどこかで詰め、詰めた分があればどこかで引き延ばすようにします)。
例えば1小節目の1拍目から2拍目で多少時間を引き延ばしたとします。そうしたらそのあと、2小節目、3小節目と音楽を前向きに詰めてあげ、4小節目で再びほんの少しだけ引き延ばします。
9小節目、Bセクションではanimatoと表示記号が書かれてあります。このセクションはメトロノームのようにならずに、即興的に生き生きと、速く演奏するとよいでしょう。
学習者はマズルカの演奏を多く聴き、独特のタイミングを学ぶことをお勧めします。
次に注意点です。9小節目の右手の6度は、1の指が大きくならないように、そして上のGがハッキリと聞こえるように演奏します。13小節目も同様です。9-12小節間と、13-16小節間では、音量、多少のテンポ、ムードを変えるようにします。決して同じように弾かないことです。
感傷的な小節が2カ所あります。15小節目と、23小節目です。それぞれ、ジャーマン65、イタリアン6 と呼ばれる和音から出来ていて、独特な雰囲気の和音です。特別に扱いましょう。
24小節目、ペダルマーキングが書かれてありますが、ペダルをまだ学んでいない学習者はこの小節に書かれてある全ての音を指で残すようにして25小節目に入ると良いでしょう。ペダルと同じ効果が得られます。
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(株)全音楽譜出版社

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