タイトルの下に”Souplesse de la main gauche”=「左手の柔軟性」とこの曲の課題が書かれています。左手は、終始ppの16分音符で静かに、伸びやかな右手の歌の伴奏をします。左手には、4小節ごとにまとめられたスラーが書かれてありますが、これはフレーズを示すスラーで、必ずしもレガートで弾かなければならないというわけではないと思います。例えばギターをイメージして、軽やかなタッチで弾いてみても良いでしょう。左右のフレーズのまとまりは、ずれており、それぞれが独立して歌われるのが特徴的です。左右はまるでお互いを意に介さないように、それぞれの役割を果たしますが、最後から6小節目のクライマクスで調和すると、共に最終音のppに向かい、静かに曲が閉じられます。