タイトルの下に”Le plan sonore et les nuances”「響きの計画とニュアンス」とこの曲の課題が書かれています。Andante。のんびりと歩くようなテンポで、右手でcantabileの歌が歌われます。ロマンスと言ってもこの歌は、ロマンティックな雰囲気はなく、「物語風の」という意味合いでつけられたタイトルでしょう。右手のメロディーは、この曲集の他の曲でも多くみられる半音を多用しながら上ったり下ったりと、憂鬱さや迷走感を伴います。左手の1〜6小節、23〜26小節では、Cの音を保続しながら少しづつ移ろいゆくバスによってできる響きをニュアンスを味わいましょう。全体には、対位法的な書法での左右の対話を十分に生かして、全体の調和を大切に演奏してください。